2015年5月21日木曜日

ぬか漬けは難しい

 5月の連休中に「ぬか床」をつくった。捨て漬けをし、試し漬けを繰り返しながら、ぬか床が熟(な)れるのを待っているが、まだまだだ。
 このごろの試し漬けは、キュウリとカブが中心=写真。ニンジンも試した。きのう(5月20日)は、カミサンが「アクが強いのに」とかなんとかブツブツ言ったが、細いゴボウを差し込んだ。

 東日本大震災の直後(その年にかぎって冬もぬか床を利用していた)、原発避難をしたこともあって、10日ほどぬか床は酸欠状態になった。表面がびっしりカビに覆われていた。それを払うと下はまだ生きていた。

 そのぬか床が去年(2014年)の夏、おかしくなった。虫がわいたり、ぬか床の表面と漬けた大根が黒ずんだりした。雑菌が繁殖したのだろう。いろいろ手を加えてはみたが事態はよくならない。もうこれまでと観念して処分した。

 新しいぬか床は塩分を控えめにした。毎日の食卓で出る肉汁の残りやシャケの皮(ふだんは食べている)もぬか床の栄養にした。ところが、2週間もたたないのに、かき混ぜるとかすかなシンナー臭がする。試し漬けのキュウリもそれに染まって後味が悪い。
 
 これまでにも何度かシンナー臭には悩まされてきた。ぬかと食塩を加える、かき混ぜる回数を増やす、唐辛子を投入する、といったことで、なんとかしのいできた。今度もそうした。食塩が足りないのは、最初からわかっていたことだ。夏のような5月の暑さも影響しているのかもしれない。
 
 ぬか床は明るい台所に置いてある。いつかは北側の階段の下に移さないといけない。ぬか床にふさわしい環境は冷暗所だからだが、大きな農家と違ってわが家にはそれがない。真夏に毛皮をまとった猫が眠っているところ、それがぬか床の“避暑スポット”でもある。

 ついでにいえば――。先日亡くなった長田弘さんの詩集『食卓一期一会』のなかに「ぬかみその漬けかた」がある。そのなかの2行。<漬けるものは何だっていい/君の時間を漬けてみるといいよ>。シンナー臭を通りこしてアルコール臭がするから、それはしない。

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