2015年6月11日木曜日

被災地訪問ツアー・中

 シャプラニールの被災地訪問ツアー初日(6月6日)午後――。いわき市平の市街地に隣接するオリーブ農園でツアーの一行を迎えた。一行が到着するまで、農園主の木田源泰さんと話した。
 農園は夏井川に架かる磐城橋のたもと、私が新婚のころ、平窪の市営住宅から会社へ通った国道399号沿いにある。

 木田さんは1キロほど先の自宅(私ら夫婦が住んでいた近く)から橋を渡ってやって来る。昔からの農家だ。今はすっかり新興住宅街になったが、私らが住んでいたころは、周りは水田だった。「家の前にハス田があって、Sさんの家があって……」というと、「Sさんとは親戚(しんせき)」だという。私らがいたころは、木田さんは中学生、いや高校生だったか。

 道路の両側にオリーブの木が植えられている。農園は堤防の道のほかに、橋の下の“あぜ道”でつながっていた。下流側の畑には以前、コットンが植えられていたが、手間がかかるのでやめたそうだ。

 木田さんによると、いわきは耕作放棄地が日本で一番多い。その休耕地を借りてオリーブ栽培を始めた。「いわきオリーブプロジェクト」で、2009年に活動が始まった。
 
 橋の向こう側に、最近、ときどき利用する中華料理店「華正楼」がある。一行とともに木田さんの話を聴いたとき、つながりを尋ねたら、右手の親指を立てた。「いいね」か。「野菜を納めている」という。震災後、生産者とじかにつながって地産地消の仲立ちをしている若い料理長と知り合った。「いわき昔野菜保存会」の仲間でもある。
 
 かねがね疑問に思っていたことがある。日本はヨーロッパと違って酸性土壌だ。いわきの気象はともかく、アルカリ性土壌で育つオリーブの栽培には向かないのではないか。木田さんはあっさり言った。「アルカリ性の土壌にすればいいんです」。そのための研究・努力を続けているのだろう。
 
 オリーブは植えられて4~5年とかで、キンモクセイに似た小花をいっぱい付けていた。花にカメラを向けていると、小さなミツバチが目に入った。二ホンミツバチだ。木田さんがあとで、興奮気味に話した。「初めてミツバチが来た、オリーブの蜂蜜ができるかもしれない」
 
 ツアーの一行はオリーブの根元の草むしりに精を出した=写真。なぜ除草が必要か。木田さんの話を聞いて納得した。草が生えていると虫が寄ってくる。なかでもシンクイムシは苗木の根元近くに穴をあけ、内部に入り込んで苗木を枯らす。それを予防するための草引きだった。
 
 夏井川渓谷の隠居で「少量多品種」を目標に掲げて野菜を栽培していたとき、ナスやトウガラシがシンクイムシにやられてダメになったことがある。シンクイムシの予防策がわかった。

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