2015年7月16日木曜日

“川中島”のヤナギ

 河口から5キロほど上流の夏井川左岸域に住む。現役のころは職場の行き帰りに、退職後は朝晩の散歩に、そして今は街からの帰りに堤防を利用している。
 河川拡幅、堆砂除去をしたところほどヤナギがすごい。たとえば、8月20日夜に流灯花火大会が開かれる平・鎌田。“川中島”がヤナギで覆われている=写真。それを見るたびに不安になる。しかも、そう感じるのは私だけではなかった。

 もう40年近く前だろうか。幼い子を連れて夏井川まで散歩に行った。そのとき、この川はどこから流れて来るのか、気になった。水源は大滝根、ふるさとの山だ。それを知ってからは、夏井川は自分の体の中を流れる血と同じになった。

 その夏井川で旧建設省の「ふるさとの川」整備事業が始まったのはいつだろう。20年前、いや25年前? 親水空間をつくるのが目的で、鎌田地区では川幅が広げられ、広場や階段が設けられた。が、その結果として“川中島”ができた。中島にはやがて草が生え、ヤナギの木が茂り始めた。2008年には一度、ここでヤナギの伐採が行われている。
 
 鎌田の下流、平・山崎(右岸)では堆砂除去と県道付け替え工事、河川拡幅工事が行われた。野球場が2面も取れるような河川敷になった。しかし、それもつかの間、大水のたびに草が茂り、今では岸辺までびっしり若いヤナギ林が形成されている。河川を拡幅したはずが、かえって狭まってしまった印象がある。住民の不安の種も芽生えてしまった感がある。

 夏井川は、河口そのものが打ち寄せる波で砂丘化し、閉塞している。流れに勢いがない川を広げたのだから、「川の3作用」(侵食・運搬・堆積)に従って、浅瀬に砂が取り残されてたまる。中洲ができる。川幅が狭くなる。そんな変化は毎日、川を見ていれば分かることだ。

 おととい(7月14日)、いわき市文化センターで夏井川水系河川改良促進期成同盟会の総会が開かれた。最後の「その他」の時間になって、ヤナギ繁茂の不安を訴える声が地元出席者から出た。風雨が凶暴化している今、「リバーウオッチャー」でもある住民には、心配がつのるばかり。けさ起きると土砂降りだった。台風11号が北上している。

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