2015年7月29日水曜日

カワミドリ

 夏井川渓谷の隠居には、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件がおきた平成7(1995)年から通っている。今年でちょうど20年になる。
 同じころ、旧知の植物の先生を中心に、渓谷の植生調査が行われた。前橋営林局(現関東森林管理局)が、一帯を「阿武隈高地森林生物遺伝資源保存林」に設定した。そのための基礎資料を得るのが目的だった。平成9年3月に調査報告書がまとめられた。

 以来、夏井川渓谷の植物でわからないことがあると、この調査報告書を開いてきた。が、3・11に本がなだれをうち、本棚も倒れ、それらを片づけるなかで調査報告書をどこに置いたかわからなくなった。

 先日、同じ渓谷の隣の集落に住む友人が、街なかのわが家にシソ科のカワミドリという野草を持ってきてくれた。なるほど葉や花穂(かすい)の姿がシソに似る。ハッカのようなにおいもする。薬草だという。

 隠居の周辺では、見たことも聞いたこともない花だった。友人もフェイスブックに写真をアップしながら、「山のカワミドリが今年も花を咲かせました。……さして珍しい草でもないのに、あちらこちら歩いてもあまり見かけません」と記していた。
 
 調査報告書に当たらねば――いわき総合図書館のホームページで所蔵の有無をチェックしたがなかった。ネットはどうか――検索すると調査報告書があった。ネットにはあらかた答えが用意されている。すごいものだ。

 カワミドリは、調査報告書には記載がなかった。シソ科として記載されていたのは、キランソウ・ツクバキンモンソウ・クルマバナ・イヌトウバナ・ナギナタコウジュ・カキドウシ・ホトケノザ・ヒメオドリコソウ・ラショウモンカズラ・ヒメジソ・イヌコウジュ・ウツボグサ・ヤマハッカ・キバナアキギリの14種。半分は知らない。見ていても区別がつかないだけなのかもしれないが。

 地べたをはうようなカキドウシやホトケノザと違って、カワミドリはしゃんとしている。花穂にびっしりついた小花はシソと違って唇形花だ。ギボウシの花を米粒よりも小さくしたような感じ。精巧にできている。

 花を見ているうちに、人間のミドリさんの顔が思い浮かんだ。和名が珍しい。カワ、ミドリ。カワ、ではないが、ミドリさんの名字も水にちなんだものだ。彼女の「守り花」にいいか、なんて、これはいつもの妄想。

0 件のコメント: