2015年10月12日月曜日

初めての東北新幹線

 日帰りで盛岡市へ行ってきた。お目当ては岩手県立美術館で開催中の「松田松雄展」。いわき~郡山は高速バス、郡山~盛岡は東北新幹線を利用した=写真。
 東北新幹線は初めてだ。郡山には止まらない「はやぶさ」という“弾丸列車”がある。行きは郡山発午前10時7分の「やまびこ43号」、帰りは盛岡発午後5時54分の「やまびこ54号」に乗った。いずれも盛岡止まり・盛岡発だ。日帰り、郡山と盛岡から乗り換えなしで――となると、「やまびこ」のこの2本しかない。

 郡山―盛岡間は実キロで255.6キロ。ここを最高時速275キロ(「はやぶさ」は320キロ)で疾走する。下りは2時間、上りは少し早くて1時間52分で行き来する。上下の列車がすれ違うと、ゴーッという音とともに車体が小刻みに揺れる。灰色の雲が広がる雨模様、ときどき雨のため、車窓から西側の山並みはほとんど見えなかった。
 
 帰りは、前の列車が遅れた影響で8分遅れの発車になった。8分遅れは痛い。「やまびこ54号」が遅れたまま郡山へ着くと、午後7時54分になる。高速バスは郡山駅前発7時55分だ。ホームから降りて駅を出た瞬間、バスが動きす、次のバスまでほぼ1時間待ち、ということになりかねない。何度もケータイを出して、時刻を確かめては気をもんだ。

 遅れた理由がよくわからない。新幹線のホームのアナウンスに、カミサンが首をひねった。「シカと衝突したために遅れた、と言ってたよね」と同意を求める。確かに「……シカ」と聞こえた。

 帰宅してからネットで検索すると、夕方、山形新幹線で「つばさ」がカモシカをはねる事故が起きた。同新幹線は福島で東北新幹線と合流する。その影響で遅れたのだろう。「シカ」は「カモシカ」だった。秋田新幹線でクマがはねられた、山形新幹線では前にもカモシカが……といった具合に、東北地方の新幹線では野生動物との衝突事故がときど起こるらしい。

 それはともかく、長距離移動の場合、途中なにかあって乗り継ぎがうまくいかなくなったら……と、先走って考えてしまうことがある。今回もそうだった。高速バスが何かの事故にまきこまれて身動きがとれなかったら、新幹線の切符がパーになる。貧乏性の悪い癖だ。

 ときどき、せっかちにもなる。朝6時半に家を出たあと、コンビニへ寄ってお茶を買いながら、もしかしたら予定のバスより前のバスに乗れるかもしれない――。パーク・アンド・ライドの始発停留所へ急ぐと、そのバスが止まっていた。が、駐車場に入ったところで無情にも出発した。30秒の遅れだった。

「車を見たのだから、待ってくれてもいいのに」。カミサンはぶつくさいうが、情で遅らせたらバスの運行システムがおかしくなる。新幹線はなおさらだ。多くの列車が高速、広範囲に動いているシステムでは、1本が遅れただけで連鎖的に影響が及ぶ。それを限定的に抑え、やがて復旧するのもまた、このシステムのすごいところ。
 
 帰りも「バスが目の前で発車」となりかねなかったところを、「やまびこ54号」が馬力をかけて、郡山着は2分遅れですんだ。気持ちだけ早足になって駅を出ると、バスはまだ来ていなかった。

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