2015年11月13日金曜日

山里の白菜を漬ける

 雨の日曜日(11月8日)に、いわき市三和町の直売所「ふれあい市場」へ出かけて、白菜の大玉を二つ買った。月、火曜日と曇雨天と雑用が続き、八つ割りにして天日に干したのが11日=写真。その日も午後、用事が重なった。干しすぎてもいけない。きのう(12日)の朝食後、なにはさておきこれをやると決めて、桶に白菜を漬け込んだ。
 甕(かめ)でも桶でもいい。物置からカミサンがプラスチックと木の桶を出してきた。前の日、すきまから水がしみ出なくなるまで木の桶に水を張るのを繰り返した。当日朝も水を張った。ほぼ漏水が止まったので、木の桶でやってみようと決めた。

「タガが緩む」という言葉がある。タガは桶や樽を守る「竹の胴巻き」だ。桶をそのまま置いておくと、乾いてタガが緩む。すると、重力の作用でタガがずり落ち、桶を構成していた木片がばらばらになる。使わない桶はひっくり返して桶、いや、おけ――そうすると乾いてもタガは緩まないと学んだのは、いつだったか。

 辞書には「緊張がゆるむ」「年をとって気力・能力が鈍くなる」といった意味で「タガが緩む」とあるが、桶で白菜を漬けるようになってからは、そうではない、桶の扱い方を知らないからだと思うようになった。個人の能力とか年齢以前の話だ。
 
 入れ物が決まったら、食塩のほかに旨味と風味になるものを加える。冬になればユズの皮で風味をととのえるが、今はない。先日、知人から西日本のミカンをいただいた。皮を残して干した。それを使った。トウガラシは、夏井川渓谷の隠居で栽培したものがある。食べるトウガラシらしく、さっぱり辛くないが、これを使うしかない。

 おととしまでは干したあとの白菜の重さを量り、事前に3~5%の量の食塩を用意したが、去年からはいちいち量らないことにした。塩を振る感覚を指が覚えている。重さも見当がつく。大玉だから計5キロはあるだろう。食べるのは夫婦2人だけ、これで20日間は持つ。そのサイクルで4月末まで、あと7回くらいは白菜を漬ける。

 それにしても、と思う。原発事故で、家庭菜園の野菜を、自家製の漬物を子ども一家に分ける喜びが断たれた。家庭菜園そのものをやめた――という人も少なくないのではないか。

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