2016年2月1日月曜日

深夜バス

 雪がやんだ朝(1月30日)、外出しようとすると、上空を鳴きながらハクチョウの小群が飛んで行った=写真。日中は四倉町長友の田んぼで過ごす。夏井川の中州などで朝を迎えたあと、えさを求めて四倉に移動するのだ。「落ち穂も切り株の二番穂も雪の下だぞ」。いわきでは珍しい雪のせいで、さぞかし腹をすかせたことだろう。
 午後になると、雪が解けだした。「チッタン、チッタン」は屋根からの雪のしずく。時折、響く「ドサッ、ドサッ」は、雪のかたまりが屋根から落下した音。庭は雪と水とでびしゃびしゃだ。家の前の歩道も水分を含んだ雪が残っている。

 宵の6時ちょっと前。バスでいわき駅前の飲み屋街へ出かけた。街は地温が高いのか、雪はほんの少ししかなかった。この雪の残り具合の差が、街と元農村の違いなのかもしれない。予定では6人の飲み会ということだったが、顔を出したのは3人。それでも異業種の楽しい情報交換の場になった。

 珍しく一次会で解散した。2人は広野止まりの下り最終電車で帰った。私は駅前のタクシープールへ。一週間前に「午前様」だったので、「きょうも遅いと◎×◇▽だから」ときつく言われたのが頭にあった。

 土曜日の夜更けなのに、駅前の飲み屋街は若い人たちがたくさん行き交っていた。タクシー乗り場にも列ができていた。「土曜日もにぎやかなんだね」。タクシードライバー氏に聞くと、「今は金曜日より土曜日が忙しいですよ」。

 以下はうろ覚えながら、タクシードライバー氏から聞いた最近の酔客事情だ。湯本や植田の客は少ない。神谷(かべや=私がそう)や平窪、好間の客が多い。これはしかし、「3・11」前から変わらないだろう。神谷よりずっと北の久之浜や広野町にも行くことがあるという。

 原発事故の収束作業や除染作業に従事している東電社員、それ以外の従業員などの宿舎がそちらにもできた。Jヴィレッジにもある。そこからいわきまで飲みに来て、タクシーで帰るという人たちも少なくないということらしい。

 世界で唯一、そこでしかやっていない仕事をしている人間がほとんどだ。飲んで気分転換を図る。それでまた次の日、頑張る。飲みに来る人間の気持ちはよくわかる。

タクシードライバー氏は「社員はバスで帰る」といった。驚いた。そういう「深夜バス」が実際にあるのかどうか、私は寡聞にして知らない。毎日、いわき駅前~Jヴィレッジ間を運行しているバスがあるらしいことは、見て知っている。それの最終便の時間までは利用可能ということか。
 
「せめて忘・新年会のシーズンだけでも、『深夜バス』があればいいのに。マイクロバスでいいから」。飲めばタクシーで帰るしかない身としては、昔から思っていたことだ。社員だけでなく一般人も乗せるとなれば、私もその「深夜バス」を利用したい。もっともそれは法律上、無理な話だが。

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