2016年7月20日水曜日

サトイモの汗

 サトイモはだいぶ前、二度ほど栽培した。といっても、家庭菜園(ベジパッチ)だから、たいした数ではない。せいぜい4株。そのときも、サトイモはあらかた買って食べていた。食べるために栽培するというよりは、栽培そのものを楽しむ、そんな感じだった。サトイモの“生理”は、だからよくわからない。
 カミサンの話――。食べるために買い置きしていたサトイモが芽を出した。土皿(どざら)に水を張り、芽を出したサトイモを浸して縁側の前のテーブルに置いたら、茎がのびて葉が出てきた。

 これは一種の水耕栽培? いや、「生け花」かも――。見るともなく見ていたら、早朝、不思議なことが起きた。雨が降ったわけでもないのに(軒下にあるから雨は関係ない)、テーブルがぬれている=写真。葉っぱの先端には微小な水滴まで付いている。
 
 ネットで検索してわかった。サトイモは、葉の先端に「水孔(すいこう)」がある。根から吸いあげた水分は、日中は葉の表面から「蒸散」する。それで調整している。ところが、過剰に給水すると、蒸散しきれないことがある。それを明け方、水孔から「出水」するのだそうだ(「出水」は「しゅっすい」と読ませるのだろうか)。
 
 驚いた。サトイモの葉と水滴といえば、コロコロ転がる露だ。七夕にまつわる話だが、この露を使って墨をすると習字がうまくなると、小さいころ言われた記憶がある。その露は空気中の水蒸気が冷えて水滴になったもの、出水はそれとは別に内側から排出されたものだ。いわば、サトイモの汗。
 
 出水はいつごろ始まるのか。ある晩、9時に見たら、テーブルに径5センチほどの水のしみができていた。11時には、そう変わっていなかった。ということは、やはり未明に出水が活発になるのだろう。
 
 葉の先っちょの水滴に触れると、なんだか粘り気がある感じ。もしかして、これも甘露? 葉の先端からこぼれる水を集めて飲んだらねとっとして甘そうだ。(けさ、先端に残っていた水滴を指に付けたら、ヒヤッとした。なめると、やはり冷たかった。味があるような、ないような……)

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