2016年9月10日土曜日

FMいわき20年

 9月1日は「防災の日」。ほかにもなにかがあったような……。もやもやしていたところに、双葉郡の楢葉町内でもFMいわきが聴けるようになった、というニュースに接した。検索してすぐ霧が晴れた。20年前のこの日、いわき市民コミュニティ放送(FMいわき)が開局した。FMいわきの情報紙「みみたす」4・5・6月号に記事が載っていた=写真。それが頭の隅っこにあったのだろう。
 FMいわきの初代社長は、いわき地域学會の初代代表幹事だった故里見庫男さん。会の仲間が、考古学や民俗学、文学、美術などそれぞれの専門分野を生かして番組づくりに協力し、出演した(今も出演している)。私も週1回、パーソナリティー相手にいわきの今のあれこれをしゃべる15分番組を持たされた(しゃべるのが苦手なので、1年か2年でやめた)。

 平成7(1995)年、阪神・淡路大震災が発生する。「ふくしま国体」も開かれた。いわきで国体がらみのイベントFM局が開局し、110日間放送した。このイベント放送の経験と大震災を受けて、翌年9月1日、正式にFMいわきが開局した。
 
 それから15年後、東日本大震災に見舞われる。同局は発災直後から3月30日午後までのおよそ19日間、456時間に及ぶ24時間生放送を敢行した。安否情報や生活情報をリスナーに伝え、コミュニティメディアとしての使命を果たした。

 その後、災害時の市民への情報提供を目的に、難聴取地域の解消を図るため、いわき市内山間部を中心に13中継局が設置された。

 あるとき、FMいわきをかけながら国道6号~同288号~県道小野四倉線~国道399号と、反時計回りにいわき市の外縁(阿武隈高地南部)を巡った。6号では広野町の北、楢葉町の「道の駅ならは」(現在は双葉警察署の臨時庁舎)あたりで音が途切れ、開けたところに出ると雑音になった。それを解消するために楢葉中継局が設けられた。

 新聞報道や町の広報によると、新中継局は町がアンテナを立て、FMいわきが運営する「公設民営」方式がとられた。防災の日と、60年前に合併して誕生した同町の町制施行を記念して、9月1日に町内でもFMいわきが聴けるようにした。同町は昨年(2015年)9月5日、全町に出されていた避難指示が解除された。それから1年、帰還者に広く生活情報、防災情報を提供する。

 開局から20年。FMいわきは自治体の枠を越えて浜通り南部をカバーするコミュニティメディアに成長した。エリアの拡大は娯楽の提供だけでなく、防災面からもより多くの住民から頼られる存在になることを意味する。営業的にも歓迎すべきことだろう。

 個人的なことをひとつ――。一時、「みみたす」にいわきの中山間地を深掘りするルポ記事が載った。一読瞠目し、ファンになった。ああいう記事の復活は、ないだろうな。

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