2016年9月28日水曜日

いわき50歳

 いわき市が誕生したのは、平高専(現福島高専)の3年生のときだ。阿武隈の山里から浜通りの中心・平市に出てきて、やっと水になじんだころだ。草野心平作詞の校歌にある「平高専」が「福島高専」に変わった。「いわき高専」とならなかったのは、平仮名の校名など論外という認識が国にあったからか。「た・い・ら」から「ふ・く・し・ま」に一音増えて、そこだけ間が抜けた歌になった。
 昭和41(1966)年10月1日、常磐地方の14市町村が合併して「いわき市」が生まれた。しあさっての10月1日、50歳を迎える。市制施行50周年を記念して「いわきサンシャイン博」が展開されている。1日には記念事業がめじろ押しだ。

「見せる」イベントでは、「磐城平城復元『一夜城』プロジェクト」がある。すでに、いわき駅裏の物見ケ岡(磐城平城があった)に塀と三階櫓(やぐら)の看板が立った=写真。1日夜6時半にはライトアップされる。駅そばの住吉屋駐車場を会場に、市民が夜空に浮かぶ「一夜城」を見上げることになる。(看板そのものは2017年3月末まで継続展示)

 その30分後には、いわき駅をはさんで物見ケ岡と向かい合う駅前再開発ビル「ラトブ」の北側壁面に、CG(コンピューターグラフィックス)技術を駆使した映像が投影される。「いわきを繋ぐプロジェクションマッピング」で、投影スペースは横57メートル、縦20メートル。同じ駐車場から壁面を見上げると、映像が立体的に感じられるらしい。

 プロジェクションマッピングの実行委員会に加わってくれというので、二度、試作映像を見ながら、自分の考える「いわき観」に従って、追加してほしいもの、カットしたほうがいいものを伝えた。

 いわきは、流域ごとに人口が分散し、それぞれにウミ・マチ・ヤマが展開する「三極三層」のまちだ。ところが、官民から発信される情報やデザインはたいてい海とカモメと灯台どまり。ヤマはどうした!と、あえて中山間地の視点から注文を付けるようにしている。

 プロジェクションマッピングの目玉は小中学生などから公募したイラストで、部分的に動きが加えられる。本編映像は10分程度ということだった。

 この日はたまたま土曜日だ。7時から街で小さな飲み会がある。北の一夜城を見上げ、南のプロジェクションマッピングを見上げてから、飲み会に合流することにしよう。投影時間は午後7時のほかに、7時40分、8時20分からの2回が予定されている。「いわき50歳」を祝う人たちで飲み屋街が忘年会シーズンのようになったら……、帰りのタクシーがつかまらない、かも。

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