2016年10月18日火曜日

公民館まつり

 神谷(かべや)公民館まつりがおととい(10月16日)開かれた。これまで土・日の二日間だったのを、日曜日の一日限りにした。同まつりの実行委員長は神谷地区区長協議会長だ。ほかの区長は自動的に実行委員、ということになる。前日の準備作業は用があって参加できなかった。当日は、朝8時から準備に加わった。
 9時半にスタートした。館内ではサークルの作品展示が、駐車場では同じく芸能発表とPTAなどの模擬店が行われた=写真。区長協議会は「花鉢売り」を担当した。「花売りじいさん」だ。
 
 同まつりは今年(2016年)で25回目。朝から青空が広がった。初回から芸能発表の司会を担当する地元の植松泰宏さんが、「これほどの晴天は初めて」と場を盛り上げた。植松さんは、ユーモアセラピスト・百笑溢喜(ひゃくしょういっき)という芸名を持つ。「いわきの綾小路きみまろ」でもある。
 
 小学校のPTA役員時代から、ダジャレと軽い毒舌と時事風刺をまぜた漫談で人気があった。最近はますます話芸に磨きがかかっている。
 
 これまでの漫談録。「昔むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。今は『あるところに』ではなく、『いたるところに』住んでます」「魚で頭がいいのはサケではない、メダカです。なぜって、学校に行ってるから」
 
 植松さんは震災後、いわき市内の交流スペースや仮設住宅で「笑いの出前」を続けた。シャプラニール=市民による海外協力の会が開設・運営した交流スペース「ぶらっと」での“口演”が始まりではなかったか。以後は引っ張りだこだ。

 芸能発表は分刻み。大正琴、コーラス、健康体操、太極拳、カラオケ……。次のプログラムへ移るまでに間があると、植松さんは話芸でつなぐ。フラダンスのおばさんたちが真っ赤なドレスで現れたときには、「今を時めくヒガンバナかと思ったらサルビアですって」。カラオケの曲かなにかを紹介するときには「灘(なだ)の酒はうまい、ただの酒はもっとうまい」。
 
 今年初めて芸能発表を見た。日常のひととき、仲間とともに踊りや歌を楽しんできたご婦人方にとっては、一年に一度の晴れ舞台だ。出番が済めば、知り合いの観客に「恥ずかしかった」「緊張した」「足がもつれた」などともらす。この市民の芸の多様さと距離の短さが、公民館の「文化祭」らしくていい。地元の神社の例大祭を除けば、コミュニティの唯一のまつり、といっていいかもしれない。

 コーラス団のなかに一人、蝶ネクタイの紳士がいた。80歳をゆうに超えているのではないか。長寿社会の象徴のような出演者だ。地域には表現者がいっぱいいる――と知った一日だった。

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