2017年1月5日木曜日

日曜日は刺し身

 今年(2017年)の元日は日曜日。行きつけの魚屋さんも、地元に本社のあるスーパーも休みだ。刺し身はあきらめようと思っていたら……。
 日曜日の夜は刺し身と決めている。ところが、昨年(2016年)11月から12月にかけて、行きつけの魚屋さんの先代夫妻が相次いで亡くなった。

 閉店中に日曜日が3回めぐってきた。3回ともスーパーの「パック入り刺し身」で代用した。顔を見てからつくる「魚屋の刺し身」とはやはり違う。カツオからカツオとサンマ、さらにはタコその他へ――刺し身の中身が変わる時期の相次ぐ不幸だった。師走の後半になって営業を再開した。タコの刺し身にホッキ貝を添えてもらった=写真。

 お母さんが亡くなった直後の日曜日、予約があって仕事をしたという。たまたまシャッターが開いていたところへ刺し身を買いに行った。「マグロなら……」というのでOKしたら、カネをとらなかった。そのときの若だんなの述懐。「おふくろは痛みも感じずに普通に暮らしていられたんですよ。おやじは『当たり所』(文句をいう相手)がなくなっちゃったんじゃないですかね」

 お父さんが亡くなったあとに営業を再開したとき、若だんなの妹さんが言っていた。「2人とも手がかからずに逝きました。あの世でも夫婦でやり合っているんじゃないですかね。若い人の邪魔にならないようにと、(母親が)呼んだのでは」。ともに85歳だった。

 そうしたなかでめぐってきた元日、日曜日。刺し身はパスするしかない――そう思っていたところへ、白身魚の“サク”が届いた。長男一家が年始のあいさつに来た。もう一組の親の家(久之浜)からいろいろいただいたなかに、それがあった。夜、刺し身にして食べた。

 食べたときはよくわからなかった。が、今まで口にした白身魚の記憶をたどっているうちに、ヒラメかもしれないと思った。ヒラメは冬、タコその他の盛り合わせのなかで少し加えてもらうだけだった。こりこりした歯ざわりが記憶を呼びさました。しかし、自信はない。なんという魚か、聞いておけばよかった。
 
 いわき市の「見える化プロジェクト「魅力アップ!いわき情報局」によれば、安全が確認されて試験操業が行われている魚種は94種。ヒラメもそのなかに含まれる。市民生活のなかにいわきの海の食文化が戻りつつある。

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