2017年3月7日火曜日

木のこぶ、さらに肥大

 いわき市平の石森山は、いわき駅を軸にした中心市街地に最も近い里山だ。標高225メートルの山頂近くにフラワーセンターがある。隣接する林には遊歩道が張り巡らされている。
 20~30代のころはたびたび出かけた。月曜日から土曜日までは、人を相手に仕事をしている。いろいろストレスもたまる。せめて週末は、と意識する前に、体が石森山の雑木林に向かっていた。やがて、平日も昼休みにコンビニでおにぎりかサンドイッチを買い、遊歩道を巡って鳥を見る、花を見る、キノコを見る――を繰り返した。

 フラワーセンターのそばに寺がある。山寺だ。そこに畳2枚分くらいの“ついのすみか”を買った。元同僚でもある住職が管理している。年に一度は管理費を納めに寺へ出向かないといけないのだが、つい3年に一度、2年に一度になってしまう。

 2月のある日、寺を訪ねたあと、往路とは別の絹谷(きぬや)林道を利用して帰宅した。道端に、人間でいえば腰のあたりで大きなこぶをつくっている木がある=写真。病気?にしては、木がしっかりしている。病気とは違うなにか?

 気づいたのは15年、いや20年前だったか。最初、おやと思い、そのあと、ときどき写真を撮ってきたが、ここ何年かは通り過ぎるだけだった。車を止めてじっくり見る。サルが腰をかけられるほどに肥大していた。

 人間にも“こぶ”ができる。よく知られているのは「こぶとりじいさん」だ。良性腫瘍だから元気でいられたという“診断”がネットに載っている。同じように良性だったのだろう、父親も腰に大きなこぶがあった。

右わきだったか左わきだったか、今では記憶があいまいだが、幼いころは当たり前のようにこぶを見ていた。が、自分にも兄にも母親にもない、と知ったあたりから、ふんどし姿になった父親の腰にあるこぶが気になってしかたがなかった。触ったりしたかもしれない。

 後年、父親はそのこぶを除去したように記憶している。脂肪の塊だったか。木のこぶから久しぶりに父親のことを思い出した。

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