2017年5月12日金曜日

『いわきの地誌』

 いわき地域学會は、変貌するいわきの姿を総合的に調査、研究し、可能な限り正確なデータを次代に伝える――を目的にした市民団体だ。昭和59(1984)年秋に発足した。
 「地域学」とか「地元学」とかいった言葉が一般的ではなかった時代から30年余、総合調査報告書や、会員による新聞連載をもとにした図書、会報など数十冊を世に出してきた。

 その最新の成果として、震災前から構想を練っていた『いわきの地誌』が刊行された。私は立場上「発行人」、つまりは資金繰り担当だ。いわき市は昨年(2016年)、市制施行50年を迎えた。その節目に、地理学的視点でとらえた「いわきの今」を記録に残すことにした。
 
 2011年3月11日、東日本大震災が発生する。大津波が押し寄せた。いわき市の北隣、双葉郡にある東電の原発が相次いで事故を起こした。同郡からいわき市に避難する人が相次いだ。今年2月1日現在、2万3000人余がいわきに避難している。その事実をわきにおいて「いわきの今」は語れない。
 
 ありがたいことに、5月9日付のいわき民報、同11日付の福島民報で『いわきの地誌』が紹介された=写真。『いわきの地誌』は、ヤマニ書房本店(いわき平)と鹿島ブックセンター(同市鹿島町)の2店で取り扱っている。両店から相次いで追加注文を受けた。ガチガチに硬い学術系の本だが、興味を持って買ってくれる人がいる。新聞がさらに後押しをしてくれた。
 
 原発震災から7年目。いわき市にとっては浜通りの連携・共創が課題になっている。そのためにも「いわきの今」を読み取り、「未来」へと考察を深めるテキストとして活用していただけるとありがたい。

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