2017年10月28日土曜日

新聞コラム

 池上彰さんが「新聞ななめ読み」で、朝日・読売・毎日3紙の1面コラムを取り上げていた(きのう10月27日の朝日新聞)=写真。

 朝日は「天声人語」、読売は「編集手帳」、毎日は「余録」。総選挙の結果を1面コラムはどう料理し、伝えていたか――が主眼だが、読売の「編集手帳」執筆担当者竹内政明さんへの“惜別の辞”でもあったように思う。竹内さんはコラム界きっての名文家だ。
 10月3日の執筆担当者交代の社告によると、竹内さんは平成13(2001)年7月から今年(2017)10月2日まで、およそ16年間にわたって「編集手帳」を担当した。

 新聞の1面は「顔」、そこにあるコラムは「シワ」――それが竹内さんの持論だ。今年元日のコラムに書いている。「心躍る出来事の目尻には微笑のシワを畳み、悲しい事件のおでこには憂いの八の字を刻み、読者の胸の奥に並べていただく。目尻の1年になるといい」。微笑の1年を祈る年頭コラムだ。比喩が独特でわかりやすい。

 新聞社を辞めてざっと1年半後、「マスコミ論」(のちに「メディア社会論」)を学生に、という話がきた。7年目の今年が最後になった。始まりは東日本大震災が発生した年で、開講が1カ月遅れた。予定の内容をガラリと変えた。

 研究材料として全国紙2紙、県紙1紙、地域紙1紙、ほかに月刊の「新聞研究」(日本新聞協会)と「ジャーナリズム」(朝日新聞出版)などを購読した。

 震災からちょうど1年がたった平成24(2012)年3月11日の読売新聞を、今も忘れられない。1面の3分の2を仙台市若葉区の「慰霊の塔」の写真で埋め、ふだんは1面左下にある「編集手帳」を上部に据えた。分量はふだんの2倍。「時は流れない。雪のように降り積もる。人は優しくなったか。賢くなったか。」。ふだんはない見出しが付いていた。

 読売は「編集手帳」から読み始める。今もそれは変わらない。「天声人語」が洋館の書斎派だとすると、「編集手帳」は長屋のちゃぶ台派。天下国家を論じるにしても、庶民の喜怒哀楽から離れない、そこが魅力だった。

 執筆者交代は、今度の「新聞ななめ読み」で知った。社告を読み飛ばしていた。あわててネットでチェックし、総合図書館へ行って10月2日と3日の「編集手帳」を読み直した。

 これは偶然だが、読売は今月で購読期間が切れる。カミサンから経費節減をいわれている。学生に話す仕事も終わった。たまたま家で店番中に拡張員氏が来た。「ちょっと休みます」といったあと、なぜか文科省前事務次官氏に関する「出会い系バー」の記事と、社会部長の言い訳が頭に浮かんだ。

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