2018年1月30日火曜日

渓谷の天然氷

 夏井川渓谷の隠居へは半月ほど行ってない。13日の土曜日はまだ“暖冬”気味だった。一気に強い寒波が押し寄せた。隠居の台所・洗面所は、対岸の滝はどうなったか――。きのう(1月29日)、気になって出かけた。
 いわきの海岸~平地はシイ・カシなどの照葉樹が生息する暖温帯、阿武隈の山地はブナなどの夏緑樹が中心の冷温帯、その中間の夏井川渓谷はモミ・イヌブナなどが優先する中間温帯だ。

 平地―渓谷―山地と植生は装いを変える。大滝根山の北麓(夏井川の水源は南麓)で生まれ育った人間は、今、夏井川下流の平地で暮らしている。週末には夏井川渓谷に通う。この20年余、渓谷が“現場(フィールド)”になって、平地・渓谷・山地を比較・検討するクセがついた。

 特に冬、雪が降ると、三つのフィールドの様子を想像する。若いとき、全天候型のタイヤをはいた四輪駆動の車に乗っていた。それでも、日陰のアイスバーンで滑り、側溝に脱輪した(山地)。雪が降ったあと、日陰のS字カーブで車が滑った。ノーマルタイヤだった(渓谷)。いずれも平地では雪は融けていた。
 
 1週間前に降った雪は、平地ではほとんど消えた。運転になんの支障もない。平地から渓谷に入ると、路肩に雪のかたまりが残っていた。除雪車が出て車道の雪を寄せたのが、かたまりになって融け残っている。隠居の前もそうだった。渓谷の先、標高が500メートルを超えるような川前は、たぶん根雪が残っている。スタッドレスタイヤでも日陰はちょっと――という不安がある。
 
 渓谷まではなんの問題もなかった。まず、隠居の台所・洗面所・風呂場を確認する。台所の水道管は大丈夫。風呂場も変化はない。洗面所は? ちょっとおかしい。元栓を閉めたはずだが、蛇口に小さな氷柱(つらら)ができて、チッタンチッタンやっている。元栓を閉め直したら、チッタンが止まった。たぶん元栓から蛇口までの蛇腹管がやられた。また、水道のホームドクターを呼ぶようになるかもしれない。
 
 そのあと、対岸の木守の滝へ向かった。つり橋を渡ると、北向きの遊歩道に雪が残っていた。人間の足跡のほかに、タヌキと思われる足跡があった。
 
 滝は上から、そして両側から凍っていた=写真。しかし、水はいつものように落下している。そのしぶきが氷柱になり、氷のこぶをつくっていた。アイスピックでこぶを5~6個取り、レジ袋に入れて持ち帰る。震災後はたぶん初めてか、二度目だろう。
 
 拙ブログをチェックすると、2010年1月中旬には、隠居の寒暖計が氷点下8度を指していたときがある。きのうは氷点下3.5度だった。水道管が凍結するような寒さにならないと、天然氷は手に入らない。

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