2018年2月22日木曜日

キュウリの古漬けも終わりに

 朝の食卓に塩抜きをしたキュウリの古漬けが出てきた=写真。「これが最後ね」「そうか、春になるのか」。言った本人が驚いた。なんでそんな言葉を発したのだろう。
「氷が融けるとなんになる?」。「水になる」ではなく、「春になる」。よく知られた子どもの感性の豊かさを示すエピソードだが、私の場合は家庭菜園の準備(土起こしと野菜の種まきなど)が頭に浮かんだのだった。

 わが家では、漬物は私がつくる。5~11月は糠漬け、12~4月は白菜漬け。つなぎにあり合わせの野菜を使った一夜漬け。それでも足りないときは、道の駅よつくら港などへ行って“おばちゃんの味”を買う。

 去年(2017年)の夏は、夏井川渓谷の隠居の菜園でキュウリを栽培した。あちこちから“お福分け”も届いた。糠漬けだけでは余ってしまう。十数年ぶりに塩漬けにした。数えたわけではないが、30本以上はそうしてあめ色の古漬けになった。

 いわきでは一年中、糠漬けをつくろうと思えばつくれる。しかし、師走になると糠味噌が冷え切ってかき回すのがいやになる。で、糠床は「塩のふとん」をかぶせて休ませる。代わって、白菜漬けをつくる。糠漬けも白菜漬けも――は、食欲旺盛な子どもたちがいるときならまだしも、夫婦2人だけでは余ってしまう。

「これが最後ね」といわれてから何日かたって、古漬けのキュウリが入った小壺が食卓から消えた。白菜漬けも、八つ割りにしたものが二つか三つ残っているだけだ。

 この冬は、いい白菜が手に入りにくかった。3月に入ってもそうだろう。となれば白菜漬けも終わり、糠床をいつもの年より2カ月早く目覚めさせるしかないか。でも、まだ冷たいだろうな。かきまわしたくないなぁ。一夜漬けでしばらくしのぐか――などと逡巡している。どんな漬物をつくり、食べるかは、私にとってはけっこう大きな問題なのだ。特に、端境期の春先は。

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