2018年3月12日月曜日

谷間の里の3・11

 きのう(3月11日)午後、夏井川渓谷の小集落で区内会の総会が開かれた。渓谷に隠居がある。日曜日に隠居で過ごす。週末だけの半住民にも連絡がきて参加した。世帯主8人、それに私を加えて9人の、隣組がそのまま区内会を構成する小さなちいさなコミュニティの集まりだ。
 総会からすぐ懇親会に移った。三日かけてつくったという「モツ煮」がふるまわれた。モツがやわらかい。臭くもない。お代わりしながらウーロン茶をすすった。

 7年前のこの日、東北地方太平洋沖地震(災害名・東日本大震災)がおきた。やはり、そのときの話になった。渓谷では、あちこちで落石があった。「落石注意」の道路標識が立つところだ。ふだんから小規模落石が発生している。目に見える限りで最大の落石(岩盤崩落)が、わが隠居の対岸でおきた。それは、しかし一般の人間の生活には支障がない。

 渓谷の“動脈”県道小野四倉線が通行止めになった。ロックシェッドから上流へ100メートルほど行ったところで落石がおきた。ワイヤネットがかろうじてそれを受け止めた。隠居へは迂回路=国道399号~母成(ぼなり)林道~江田=を利用した。小野四倉線と並走する磐越東線もしばらく運行が止まった。

 今は――。巨大地震のつめ跡は、わが隠居の庭の石垣の崩れをのぞいて、渓谷の集落ではひとまず解消された。放射能の影響も軽微だった。ところが今度は、別の問題が浮上した。集落の北方にある神楽山(808メートル)で風力発電計画が進められている=写真。飲み水も田んぼの水も同山が水源だ。集落の裏山までゾーンが迫っているという。まさか谷間の里のてっぺんに風車が立つようなことはないだろうな。

 以前、拙ブログにこんなことを書いた。――平成26(2014)年11月、経産相と福島県の新知事が会談し、福島県内で発電された再生可能エネルギー買い取りを東電に求めることを明らかにした。東電の送電網を活用して、関東方面に送電する、と県紙が報じていた。その後、県の産業復興計画「イノベーション・コースト構想」に基づいて、その流れが具体化しつつあるわけだ。
 
「その流れ」のひとつが、阿武隈高地東側丘陵のあちこちで展開される風力発電事業だ。谷間の里の3月11日、急に風車問題を突きつけられた気分になった。これについては、また日をあらためて――。

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