2018年8月5日日曜日

賢治のミミズク

 この夏、家にいるときはTシャツに半ズボン、がほとんどだ。Tシャツの代わりにランニングシャツのときもある。それでも暑い。
 ランニングシャツに半ズボンという組み合わせは、昭和30年代前半、子ども(団塊の世代)の定番だった。それから半世紀後の2010年9月に台湾を旅行したとき、ランニングシャツに半ズボン姿のジイサンを多く見た。初めて訪れた島なのに、懐かしさを感じた。エアコンがあってもめったに使わない、そんな家では暑さをやり過ごす方法がきっと昔の日本と同じなのだろう。

 宮沢賢治が描いたミミズクのTシャツ=写真=を持っている。それを着るたびに、「賢治はわかって描いたんだろうな」と思う。ミミズクの脚(爪)のことだ。

 フクロウ類は木に止まるとき、4本の脚のうち2本を前に、2本を後ろにしてがっちり枝をつかむ。

ところが、賢治のミミズクの前脚(爪)は3本だ。自然科学に精通している賢治が、ミミズクの前脚を2本ではなく3本にしたのはなぜか。フィールドワークによる「心象スケッチ」を得意とする詩人だったから、脚を3本前に出したミミズクを目撃したことがあるにちがいない。

とはいえ、枝の細さからして、前3本ではどうもバランスが悪い、この何年か、思い出してはネットで検索しているのだが……。静止しているフクロウ類の写真は前脚がほとんど2本。しかし、3本の写真もある。詰め切れない。

「フクロウ情報館」というサイトに出合って、ようやく“半解”した。リラックスしているときは「前に3本の指を出して、後ろは1本の形が多い」のだとか。賢治はリラックスしているミミズクを描いたのだと、現時点では解釈しておこう。2本のところを間違って3本描いた――ということもゼロではないのだから。

さて、いわき市立草野心平記念文学館では8月26日まで、夏の企画「宮沢賢治展―賢治の宇宙 心平の天」が開かれている。賢治の描いた水彩画も展示されている。ミミズクの絵は、今行けば本物が見られる(12日まで)。脚からミミズクの絵を観察してみてはいかが?


0 件のコメント: