2018年10月31日水曜日

横川で地質調査、あれか

 いわき市平・平窪の夏井川にハクチョウが飛来したのは、10月14日の日曜日。私はそれから5日後の19日、小川町・三島に分散してきた5羽を確認した。それが今シーズンの初見だった。
 さらに1週間後の金曜日(10月26日)、望遠カメラを持ち出して、トレーニングを兼ねて夏井川の河口へ出かけた。ハクチョウはいなかった。冬鳥のマガモが点々と羽を休めていた。

河口部で夏井川と合流する横川(仁井田川)に、パイプで足場が組まれていた=写真上1。一角に「地質調査中」の看板が立っている。ん、あれか!

7月に夏井川水系河川改良促進期成同盟会の総会が開かれた。小川町から下流平坦部の区長らが出席した。毎年、総会後に福島県いわき建設事務所が管内の夏井川の改修工事について説明する。そのとき聞いた横川の治水対策のひとつに、夏井川合流部の水門設置があった。ほかに、横川の築堤・護岸、夏井川左岸河口部の築堤・護岸が計画されている。

根っこにあるのは夏井川河口の閉塞問題だ。大正2(1913)年に脱稿、同11年に刊行された『石城郡誌』には、既にこの問題が記されている。夏井川は干天になると水の勢いが弱くなり、河口が閉塞する――。

閉塞すれば横川に逆流して、仁井田川が水の吐き出し口になる。昭和8(1933)年6月9日付常磐毎日新聞にも、「折角の工事/河口が埋る/夏井川逆流し/地元民が陳情」とある。

前に書いた文章だが、昭和7年度に時局匡救(きょうきゅう)事業として、夏井川河口部で改修工事が行われ、右岸・夏井村下大越(おおごえ)、左岸・草野村沢帯(ざわみき)に防波堤が設置された。

ところが、左岸河口で合流する横川の改修工事が手つかずのため、荒天のたびに河口が土砂で埋まり、河流が沢帯地内に逆流するようになった。思わぬ被害の発生に、地元区長ら代表数人が平土木監督所を訪れ、横川の改修促進を陳情した。

それからざっと85年後の現在、仁井田川が台風によって河口が開け、東日本大震災による地盤沈下などの影響も受けて、夏井川河口の閉塞と横川への逆流が常態化した。

 10年ほど前には、今、地質調査の足場が組まれているところに夏井川の水の逆流を遮る“石のダム”ができた。これはあえなく失敗した。いよいよ今度はコンクリートで積年の問題を解消しよう、というわけだ。夏井川河口ではこうして、いつもバードウオッチングが閉塞と逆流のリバーウオッチングになってしまう。
 そのあと、防波堤に立って太平洋を望んだ。波が激しくブロックを噛んでいた=写真上2。風が強い。しぶきが飛んで来る。早々に退散した。

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