2018年11月21日水曜日

<二点居住>という生活のかたち

 先週末(11月17日)、早稲田大学文学学術院教授で同大地域社会と危機管理研究所長の浦野正樹さんら4人が来訪した。浦野教授らは「原発震災」後、いわきを中心に現地調査を続けている。原発避難民を受け入れている一コミュニティの、8年目の「今」を話した。
 浦野教授とお会いするのは確か、2012年(三回)、2014年(一回)以来、五度目だ。震災の年の暮れ、東京で開かれた催しで教え子のひとりと知り合い、以後、彼女がいわき明星大の客員研究員を務めたこともあって、情報収集を兼ねてわが家へ寄るようになった。その過程で“災害社会学”なる言葉も知った。彼女は、今は東洋大学社会学科助教の職にある。

 12月8日(土)午後2時から、早稲田大学戸山キャンパスで「あれから8年 わたしたちはフクシマを忘れない~<二点居住>という生活のかたち」と題するシンポジウムが開かれる=写真(チラシ)。早稲田大総合人文科学研究センター<現代社会の危機と共生社会創出に向けた研究>部門、および一般社団法人シニア社会学会「災害と地域社会」研究会が共催する。

彼女は3人いる司会進行役のひとりとなり、浦野教授はコメンテーターのひとりとして参加する。それもあって、彼女が水先案内人になって「定点観測」に来たのだろう。

 <二点居住>という言葉に興味を持った。「地域」ではなく「点」。過疎・高齢化対策と連動した「移住・定住・二地域居住」との混同を避けるための「二点居住」でもあるか。

シンポジウムのチラシから引用する。「福島県の原発事故被災地では、帰還政策によって避難指示が解除され、ふるさとに帰ることが可能になった地域が増えてきました」

その過程で「ふるさとに帰還して生活を再建した人もいますが、これまでの長い避難生活を経て、ふるさとに戻るのではなく、避難先など新しい地域を生活拠点とする人もいます。多くの避難者は、『避難先』や『避難元』など二点以上の地域と関わりながら、引き裂かれつつも、広域に分散した生活拠点をつなぎ合わせて生活を組み立てているのが実態です」。

「避難先」の東京都といわき市に生活拠点を持ちながら、避難指示解除後の「避難元」=ふるさと(浪江町、富岡町)にも通っている3人が話題提供者として参加する。「複数の地域と関わる生活の実態と苦難を学び、地域との関わり方、そして社会のあり方について考える」のが狙いだ。

いわきから参加する話題提供者のTさんとは、シャプラニール=市民による海外協力の会がいわきで開設・運営した交流スペース「ぶらっと」を介して知り合った。司会を担当する助教(当時、院生)とも、シャプラがらみの出会いだった。参加費は無料。希望者はメール(jaas@circus.ocn.ne.jp)か、電話・ファクス(03-5778-4728)でシニア社会学会事務局へ申し込むとよい。お近くの方はどうぞ。

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