2018年12月28日金曜日

キミはどこから来た?

きのう(12月27日)昼前、用があって市役所へ出かけた帰り、いつものように夏井川の堤防を通った。
  平・塩地内の水鳥の越冬地には、カモ以外はハクチョウが1羽しかいなかった。そのまま通り過ぎようとしたが、ハクチョウのくちばしの色がオオハクチョウやコハクチョウとは違っていた。オレンジ色で目から付け根が黒い。ひょっとしたら――。車をバックし、河原へ通じる道に止めて、岸辺に立つとまちがいない。コブハクチョウだ=写真上。

ほかのハクチョウたちは朝、三々五々、やや離れたところにある田んぼへと向かう。わが家の上空を鳴きながら通過する一群もある。稲株のひこばえでも食べに行くのだろう。午後遅い時間には、堤防のそばの「白鳥おばさん」がえさをやる。それまでには戻ってくる。コブハクチョウはたった1羽残った。残るしかなかったか。

人間には慣れているらしい。私が近づいても逃げない。水面にくちばしをいれる。水をすくう。首を上げて水を流し込む。くちばしからしずくがこぼれる=写真下。首をかしげる。水の流れを見つめる。なかなか思慮深げな雰囲気だ。
ハクチョウにもいろいろ種類がある。日本に渡ってくるのは主にオオハクチョウとコハクチョウだ。これに、ときどきアメリカコハクチョウが混じる。

コブハクチョウはおおむね欧州に生息する。だから、このハクチョウが日本で、しかもいわきで見られるのは本来、異常なことだ。日本野鳥の会いわき支部の『いわき鳥類目録2015』によれば、コブハクチョウはいわきでは「漂鳥」扱いになっている。

公園などで飼われていたのが逃げ出し、野生化したのが日本各地に定着しているらしい。茨城県・霞ケ浦では盛んに繁殖しているようだという。いわきまでは直線距離で100キロほど。ハクチョウにとっては目と鼻の先の距離だそうだから、そこからやって来たか。

コブハクチョウはデンマークの国鳥だ。アンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」や「野の王子」(白鳥の王子)は、当然、コハクチョウではなくてコブハクチョウが主人公、あるいは化身だろう。すると、チャイコフスキーの「白鳥の湖」のハクチョウも。欧州の文学や音楽・美術に登場するハクチョウはコブハクチョウだと思っていいのではないか。

きのうはたまたま、野鳥の会いわき支部の元事務局長氏が来訪した。コブハクチョウの話をすると、「鮫川へはよく来てましたけど、夏井川は初めてではないですか」という。私のなかでは、これはビッグニュースだ。キミはどこから来た? そして、どこへ行く?

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