2019年3月1日金曜日

子どものときはチョロだった

 今春、長女が小学校に入学するという若い知人がやって来た。夫婦で話を聞いているうちに、私の子どものころを思い出した。
 昔は、ADHD(注意欠陥多動性障害)という言葉を耳にしたことはなかった。行政が発信するADHDの解説を読むと、私の発達過程のなかでも該当することがいくつかある――そんな思いになった。

 ADHDの特徴は不注意・多動性・衝動性の三つだそうだ。不注意は、一つのことに集中することが難しいため、忘れ物やなくし物が多い――など。多動性は、言動や行動をうまくコントロールできず、自分で抑えることが困難――など。衝動性は、感情を抑えることが難しく、順番を待てなかったり、人がしていることを遮ったりしてしまう――など。

よくある行動・生活面・コミュニケーション・遊び・感情などについても特徴が記されていた。よくある行動の「外出先でどこかへ行ってしまい、迷子になることがある」に、1回だけ該当しそうになったことがある。

子どもは基本的に“多動”だろう。次から次に興味・関心がわく。大人から見たら、子どもは落ち着かない動物――よく周りから「おまえはチョロだ」と言われた。

今でも覚えている最初の“多動”の記憶――。4歳か5歳だった。祖母に連れられて、阿武隈の山里から磐越東線の汽車に乗って、浜通りの平の叔母か小名浜の叔父の家を訪ねた。同線は今も単線だ。小野新町駅で平からやって来る汽車を待っていた。待ち合わせは、子どもには退屈な時間でしかない。

いや、その前に汽車を降りる人たちの流れに誘われてホームに出てしまったのかもしれない。駅の改札口とホームは地下歩道でつながっている。その地下歩道の階段をとんとんと降り始めて、平らな通路に出た。改札口へと階段を上り始めたところで大人(車掌?)に保護された。

小学校の入学式の日も鮮明に覚えている。阿武隈の山里には幼稚園も保育園もなかった。いきなり小学生になった。教室に入り、椅子にすわるとうれしくて、前の女の子の椅子を足でバンバンやった。すると、その子が手を挙げて先生に告げた。初日からしかられた。

2年生の体育の授業のときに男女が手を握って踊るダンスがあった。フォークダンスだったか。それを拒否して、やはり先生にしかられた。

それから60年以上たった今、茶の間のこたつに入って“不動”のことが多いが、脳内は興味・関心の生まれるままに“多動”している。

きょうはもう3月。庭のジンチョウゲも日に日に花を咲かせている=写真。春が駆け足で近づいている。あと1カ月で新年度、入学式だ。

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