2019年3月19日火曜日

「乙女」のうしろに「熊」がいた

 いわき市平市街の西方に、南から湯ノ岳~天狗山~三大明神山~二ツ石山が屏風のように連なる。広葉樹が葉を落としている今、杉の人工林が青黒く浮き出ている。
 湯ノ岳の斜面に「座った乙女の横顔」を連想させる杉林がある。その写真と文章を去年(2018年)5月23日と、今年2月14日のブログにアップし、フェイスブックにも載せたら、内郷の知人からコメントが入った。

内郷では「熊林」と呼んでいる。つまり、乙女ではなく熊。小学校の時には、この熊林を抜ける遠足があって、子どもたちがよく遭難した――という。「どう見ても熊でしょ。乙女には見えません」。でも、私には、どう見ても熊には見えない。

2回目も同じように、「内郷では、ここをクマ林と呼んでいます。私の祖父の代からそう呼んでいます」。「まあ、見方は人それぞれ、ということで」と返事をしたものの、釈然としなかった。

 先週の土曜日(3月16日)朝、小川町へ行く用事があって、平商業高校前を通って平・中塩の田んぼ道に出た。西方の山の屏風があらかた見渡せる。一番左側に乙女がいる。ほかには……。ん、乙女のうしろ(北側)に熊らしい輪郭を持つ杉林があった=写真。アイヌの熊の木彫りに似たかたちで、よく見ると「しっぽ」まで付いている。

 もしそれが知人のいう「熊林」だとしたら(間違いないと思うのだが)、湯ノ岳には乙女も熊もいたのだ。それが分かっていれば、議論がすれ違うこともなかったし、釈然としない思いになることもなかった。乙女と熊――なにか物語がつくれそうな組み合わせではある。

 ※追記(3月25日)=「座った乙女の横顔」の杉林について、内郷の知人とは別に、内郷出身の方から「これは『熊林』です」というコメントをいただいた。知人からも再度、同様のコメントをもらった。今は私のように「座っている横向きの乙女」と見る向きもあるが、すっかり痩せてはいるものの、昔は「横向きに座った熊」だった、ということだった。訂正を兼ねて追記する。右の方にいる熊は、内郷では「子熊」と呼ばれていたようだ。

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