2020年1月9日木曜日

思いがけない“お年玉”2

 年末年始、カミサンが“あるモノ”を探して、押入をガサゴソやった。すると元日に、ずっと探していた本が現れた、ということを1月2日に書いた。
 そのあとも思いがけないものが出てきた。書類の間に、現金ン万円の入った封筒がはさまっていた。何十年か前にも、月給袋(まだ銀行振込ではなく、手渡しだった)がタンスの引き出しにまぎれ込んでいた。ときどきこういうことがあると、自分のカネながらうれしい。

“お年玉”は、それだけではなかった。いわき出身でスペイン在住の画家阿部幸洋のリトグラフが出てきた。額に入れたらいちだんと作品が引き締まった=写真。

 東日本大震災で線を引くと、アフターではない。ビフォーもビフォー、20世紀の作品ではないか。スペイン語でタイトルが書かれている。「Se esconde el sol」。ネットで意味を検索すると、「太陽が沈む」という日本語訳が付いていた。

 村の建物が5棟。教会の塔も見える。それぞれに光と影が描かれている。教会の塔はさらに、輪郭だけ斜めになって描かれる。同じく斜めにかしいでいる穂先のようなものもある。

 右上には円を描くように曲線が配されている。「太陽が沈む」という訳を知って、納得がいった。丸い線の集まりは太陽を模したのだ。墨一色のリトグラフだからよく分からなかったが、スペインの村(阿部の住むトメジョーソか)の夕景色をモチーフにしたのだろう。

タイトルの前には「13/15」、画家のサインのあとには「9316」の数字が書き込まれている。「13/15」は15枚刷ったうちの13枚目ということだろうか。「9316」は? これは本人に聞かないとわからない。

 実は、“あるモノ”とはノートパソコンのデータを保存するためのハードデスクだった。押入にしまった記憶しかないので、てっきりカミサンが片付け直して、どこかへ押し込んだとばかり思っていたが、そうではなかった。同じ部屋のチェスト(脚の付いた整理ダンス)に、私が移し忘れたか、カミサンが断って移したのを私が忘れていたかしたらしい。

 ノートパソコンは経年劣化で画面にモアレが出てきた。いつ息の根が止まるかわからない。松の内に新しいノートパソコンとハードデスクを買ったとたんに、前のハードデスクが出てきた。お年玉のン万円はこの購入費の一部に化けた。

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