2020年3月31日火曜日

イタリアからの電話

 イタリアの新型コロナウイルス感染が深刻だ。3月28日付の朝日新聞=写真=によると、3月27日現在で死者が約8200人、それから2日ほどしかたたないのに1万人を超えた。(30日現在、1万1591人という報道も)
 おととい(3月29日)の夜9時前、国際電話がかかってきた。イタリアに住むカミサンの同級生からだった。3月25日付の拙ブログで「カミサンの同級生がミラノの東、『ロミオとジュリエット』で知られるベローナに住んでいる。向こうの日中の時間に合わせて電話をかけているのだが、まだつながらない」と書いた。

イタリアで拙ブログの唯一の読者である彼女が、それを読んでカミサンに連絡してきた。まずは無事だったことにホッとする。

 冒頭の新聞記事は、イタリア北部パドバに住む日本人漫画家ヤマザキマリさんに現地の様子を聞いたものだ。記事では、なぜイタリアで死者(高齢者が多い)が急増したのか、についても触れている。イタリアの国民性、文化と習慣はさておき、ヤマザキさんは日本の若者の危機感のなさに警鐘を鳴らす。「高齢者に感染させるリスクをもっと意識してほしい」

 記事を読んだあと、ネットでイタリアの情報を集めた。原則外出禁止だという。薬局と食料品店以外の店は閉鎖、宅配はOK、外出許可書には「感染していない」という申告項目が追加された――。

 カミサンのメモによれば、同級生はベローナの山の上の村に住んでいる。人口は約2500人。スーパーはない。代わりに移動販売が来る。予約すると品物を届けてくれる。食料品の買い物だけは許されている。小麦粉30キロを買いだめして、自分でパンをつくっている。散歩に出ればパトカーに止められ、外出許可書の提示を求められる。牧師も医師も亡くなっている。

同級生は最後に、こう忠告したという。「新型コロナウイルスを甘く見てはいけない」

「志村けん!」。若いころ、実家に帰省すると、姪たちが私の頭を見てはやしたてたものだ。最初は長髪の加減から、その後は髪の毛の減り具合から。いわきの知人の娘も、遊びに行くたびに「志村けん!」と、同じことをいった。それで、「いわきの志村けん」を自称することもあった。

ご本人が3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった。報道によると、17日に倦怠感があって自宅で静養し、19日発熱・呼吸困難となり、20日に肺炎と診断されて入院、23日に新型コロナの陽性と判明、人工心肺装置などを付けたが、意識は戻らなかった。自覚症状からわずか13日目、あまりにもあっけない死だ。

アメリカの俳優トム・ハンクスはオーストラリアで感染したが、無事退院した。「日本の喜劇王」も頑張って退院してほしい、そう願っていたのだが、かなわなかった。享年、70。私より1歳小さい。「新型コロナウイルスを甘く見てはいけない」。イタリアからの言葉が脳内で残響する。

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