2020年7月5日日曜日

マイクロツーリズム

 いわきで旅行業を営む後輩が、フェイスブックに業者として福島県民限定宿泊割引を利用した話を載せた。小名浜の割烹旅館天地閣に泊まって、アクアマリンふくしまの先に沈む夕日と海の幸を楽しんだ、奥さんも大満足だった、という。
正式には「福島県観光周辺宿泊支援対策事業」というものらしい。コロナ問題で打撃を受けた県内宿泊施設の再生が目的で、県内在住者なら1人当たり7000円以上の宿泊に対して5000円が補助される。つまり、最低2000円で身近な旅館の味とサービスを楽しめる、というわけだ。

コメントには、さらにマイクロツーリズムからの観光の復活に期待を込めて、予約の電話応対に頑張る――とあった。事業の中身を調べたら、期間は7月31日まで延長、宿泊助成を取り扱う旅行会社が同4~6日に電話・ネットで予約を受け付ける、とあった。後輩の会社は4日と6日の電話予約だけで、4日はすでに終了している。

マイクロツーリズムは「コロナ時代」の観光のありかたを示す概念らしい。新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)で、インバウンド(外国人訪日旅行)は当面、期待できない。それに代わる旅行形態として、自国民が気軽に楽しめる近場の観光、つまりマイクロツーリズムが想定される。それからの観光再生を、ということなのだろう。

自宅から自家用車で30分~1時間で行ける範囲で、在宅ワークなどで疲れた心と体を、「上げ膳据え膳」で癒す。それが、冷え切った国内観光関連事業の支援になる。地域の再発見にもつながる――ネットであれこれ探ったら、そんなイメージが浮かんだ。

いわきは、全国でも有数の広域都市だ。昭和41(1966)年に14市町村が合併して「いわき市」が誕生し、市域では日本一になった(当時)。面積が広いために、ハマの人間はいわきのマチやヤマを知らない、ヤマの人間はいわきのマチやハマを知らない、マチの人間はいわきのヤマもハマも知らない――といった状況が今も続いている。

いわき市民がいわきを知るためにも、私は、いわきでは「域内観光」が必要だと思っている。市外からの観光客も大事だが、市民が地域をよく知るための域内観光も大事だと。マイクロツーリズムとはつまり、この域内観光のことではないか。

 若い知り合いがフェイスブックで「GO TO IWAKI いわきふしぎ発見!!」を始めた。「テイクアウトいわき」に続く取り組みで、目的としてはマイクロツーリズムと重なるところがあるように思う。

 マイクロツーリズムと「GO TO IWAKI」を重ねたところで、真っ先に思い浮かんだのが遠野町入遠野の「入定(にゅうじょう)」。そこの夕方の景色に目を奪われたことがある。

古巣のいわき民報で同僚のカメラマンと一緒に訪ね、夕暮れの写真を撮った。平成3(1991)年元日号の第3部<特集 私選・いわき14景>のなかに、「入定晩煙 遠野」と題して載せた=写真。

夕暮れはどこでも美しい。なかでも、入定の夕暮れは格別だった。いわきのあちこちで夕暮れを見てきた人間はそう思う。マイクロツーリズムというのは、こうした小さな、しかし思い出に残る土地の魅力や歴史、自然、文化と出合う旅のことなのだろう。

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