2021年1月11日月曜日

「氷の世界」と「光の世界」

                     
 おととい(1月9日)の朝は風呂場の水道が凍っていた。この冬一番の冷え込みになった。平地がそうなら、渓谷は――。

 きのう(1月10日)の日曜日朝10時前、夏井川渓谷の隠居に着いた。Ⅴ字谷だから日照時間は短い。この時期、太陽が顔を出すのは9時過ぎ、尾根に消えるのは午後3時前後。同じ青空でも、平地は円盤状だが、渓谷はささくれだった帯状、いや糸状だ。谷底は場所によって影がこもり続ける。

 渓谷の名勝・籠場の滝の下流と上流が、あらかた凍っていた=写真上1。落下する滝の水量が多いと、直下の岩盤にしぶき氷が発達する。ところが、今は老人のように勢いがない。そのせいもあるのだろう、岩盤にはしぶき氷がほとんどなかった。

上・下流の水面が凍っていたのは、水量が少ないために流れに勢いがなく、天空から下りてくる寒気を散らすことができなかったからだろう。

 渓谷の冬を経験するのは今年(2021年)で四半世紀ほどになる。阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きた平成7(1995)年の初夏、義父に代わって隠居の管理人になった。

最初の何年かは冬も平地の感覚で隠居を管理していたために、たびたび水道管の凍結・破損に見舞われた。そのつど、「水道のホームドクター」(同級生)を呼んで直してもらった。(思い出した。水道の凍結を想定して、水の入ったヤカンを携帯したこともある)

 最近は彼のアドバイスを守って、洗面台の元栓は締め、台所のガス温水器は使ったあと、水を抜いて帰るようにしている。

きのうは、隠居に入るとすぐ温度計を見た。氷点下8度だった=写真上2。1週間前は氷点下5度。このときにはまだ、台所の水は出た。その水が出ない。水が出ないとなにもできない。昼食に予定していたカップ麺、これだって食べられない。

 屋内がそうなら、屋外はもっときつい。生ごみを埋めようにも表土が凍っていて、スコップでは歯が立たない。一度埋めたところが掘り返されて、あちこちに穴ぼこができている。下の庭に「ためフン」があるから、犯人はタヌキだろう。穴ぼこの一つを利用して、少し広く深く掘って生ごみを埋めた。これもいずれ掘り返されるだろうが、「燃やすごみ」として集積所に出すよりはよしとするほかない。

 それから対岸の「木守の滝」に出かけた。しぶき氷が発達していれば、一部を回収して冷凍庫に入れるのだが、滝の両側が凍り始めたばかりだった=写真上3。近くに下流の水力発電所のための取水堰がある。そこから導水路が夏井川に沿って延びる。堰でいったん流れがゆるやかになるのだろう。ここもほぼ水面全体が凍っていた=写真下。

 滝の氷は、この寒気が続けば1週間後、あるいは2週間後には肥大する。そのときが回収時期だ。隠居にいても、水が出ない以上はお茶も飲めない。お昼になる前には渓谷を離れ、街で五目ラーメンを食べた。青空が輝いていた。いわきでは「氷の世界」(山間地)と「光の世界」(平地)が同時に存在する。「今度はヤカンに水を入れて持って行かなくちゃ」とカミサン。

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