プランターに利用するのは、正方形だと幅10センチ前後のペットボトル(2リットル以下)だ。筒状の上部は切り取っておく。
底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き、培養土を加える=写真。この際、トントンと土を詰めるようなことはしない。
タネは2~3種類の在来作物(昔野菜)で、フワッとした状態の土の表面に置き、その上に細かくした落ち葉のふとんをかけて、霧吹きで3回ほど水を吹きかける。
森のなかの木の実が林床に落下し、やがて落ち葉の間からタネが発芽する様子をイメージするとわかりやすい。ペットボトルは「小さな地球」だ。
これは今年(2025年)2月、いわき市の中央台公民館で開かれた第12回いわき昔野菜フェスティバル(同野菜保存会主催)のイベントの一つ、「ペットボトルプランターで昔野菜を育ててみよう!」(ワークショップ)の一こまだ。
講師は一般社団法人シーズオブライフのディレクター坂田奈菜子さんが務めた。
当初は、同法人代表理事で社会起業家のジョン・ムーアさん(高知県)が講師の予定だったが、インフルエンザにかかり、急きょ、坂田さんに代わった。
そのときのワークショップの様子を伝える拙ブログを一部、要約・再掲する。
――世界の66%の耕作地はわずか9種類のために使われている、世界の耕作地の20%は農薬や土壌汚染、温室効果ガスなどで農業に適さなくなっている……。
座学で日本と世界の農業の現状に触れたあと、地球の環境と多様性を学ぶには自分でタネをまくことが一番、というわけでプランターづくりが行われた。
つくったプランターは家に持ち帰り、植物の身になって置く場所を決めること。講師のアドバイスが耳に残った――。
私は会場の隅っこから見聞するだけだったが、ワークショップに参加した保存会の会員によると、「タネが発芽した」「しなかった」と結果は分かれたようだ。
同じ野菜から採れたタネでも優劣があり、同じ方法で管理しても違いが出る。一つひとつ異なる結果が出るところが土の面白いところだ。
ジョンさんは、地球を次世代へ継承するには自然資源を回復させる行動を意識して選択する必要がある、と考えている。
そのジョンさんが彼岸に旅立ったという。先日、いわき昔野菜保存会のフェイスブックに、シーズオブライフからの訃報が転載された。
ジョンさんは9年前、同フェスティバルに講師として加わった。保存会では次年度のフェスティバルでもペットボトルプランターづくりのワークショップを計画していた。あまりにも突然の訃報に言葉もない。合掌。
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