こういうのをカルチャーショックというのだろう。いわき昔野菜保存会の総会のあと、交流会が開かれた。その席で知ったことだ。
大根は地中で長く肥大した根を食べる。秋まきなら冬、春まきなら夏と、年に2回は栽培・収穫できる。
それしか頭にない人間には、根ではなく開花後にできるさやを食べると聞いたときには、最初なんのことかわからなかった。「さや大根」だという。
白菜、大根、ニンジンその他、野菜は薹(とう)が立つ前に収穫する。つまり、未熟な状態で収穫するのがコツ、ということになる。
さや大根はその逆だ。わざわざ薹が立って花が咲くのを待つ。そして、結実し始めた若いさやを収穫する。
花を食べる、さやを食べる、というのはなかなかイメージしにくい。が、キヌサヤエンドウは花が咲いたあとの若いさやを食べる。この点では、さや大根はキヌサヤと同じだろう。
白菜の菜花を食べる話は知っていた。私らも春になると、菜花をもらって食べる。そのためだけに種まきをずらす友人もいる。
白菜も大根も同じアブラナ科だ。花が咲けば実がなる。その実がさやの中で形成される。キヌサヤを栽培したことがあるので,実の形成過程は想像がつく。
夏井川渓谷の隠居の庭で三春ネギと辛み大根を栽培している。辛み大根は今や自生に近い。不耕起のうえに、ほとんど手をかけない。
たまたまさやが落下したのをそのままにしておいたら、月遅れ盆のあとにちゃんと双葉が現れた。
この何年か、さやごと種を収穫したあとにこぼれ種で発芽した辛み大根だけを育てている。
その辛み大根が、今年(2025年)も開花したあと、さやをいっぱい付けた。これもさや大根だから、食べごろにはちがいない。
さや大根の話を聞いたのは土曜日(5月24日)。翌日曜日朝、雨が小やみになったところで、辛み大根のさやを摘みに隠居へ出かけた。
さやはこぶ状にふくらんだものからでき始めたものまでさまざまだった。しかも、まだ鮮やかな緑色をしている=写真。
そのうちの一つを、生のまま試食する。辛くはない。実もやわらかい。かんだあとからほのかに大根の味がした。
これはいける! キヌサヤと同じように、汁の実・炒め物・煮物にいいのではないか。
というわけで、まずは湯がいてマヨネーズあえにしてみた。味はほとんどない。が、何度も食べているうちに、ほのかな辛みが広がってきた。
辛み大根は冬、よくて牛乳瓶くらいに肥大した根を引っこ抜き、おろして薬味にする。とにかく辛い。それもあって、一冬に利用するのは4、5本程度だ。
そのために春がくると、狭いエリアながら一角が大根の花だらけになる。当然、さやも始末に困るほど付く。
それをさや大根として利用できるなら、一石二鳥だが……。マヨネーズあえだけでは、まだなんともいえない。いろいろ試してみるとしよう。
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