知り合いから野菜や山菜が届く。基本は互恵。スーパーでの買い物とは別に、お福分け=非金銭経済の循環が暮らしを彩る。
春の山菜、夏のキュウリ、秋のハヤトウリ、冬の白菜、ネギ……。1回の量としては1~2玉、あるいは数本であっても、年間を通せばけっこう家計の足しになっているのではないか。
春はなんといっても山菜だ。夏井川渓谷にある隠居の庭だけでもヨモギが生え、フキノトウが現れる。今年(2025年)は2年ぶりにアミガサタケ(キノコ)が発生した。
「原発震災」後、庭は全面除染の対象になり、土を入れ替えた。放射線量は問題のない範囲に収まったので、ネギの栽培を続け、フキノトウなども採っている。
毎年のことながら、春になると行政のホームページをチェックする。今年もゼンマイやワラビ(野生)、コシアブラ、タケノコ、タラの芽(野生)、原木ナメコ(露地)は、出荷(販売)が制限されたままだ。
野生のキノコは出荷だけでなく、摂取も制限されている。隠居の庭に出るアミガサタケや梅雨どきのマメダンゴ(ツチグリ幼菌)、秋のアカモミタケ、ヒラタケ以外は、やはり口にするのがはばかられる。
栽培ワラビやフキ、ウドは出荷制限が解除されてからだいぶたつ。コゴミ(クサソテツ)やシドケ(モミジガサ)も出荷制限には入っていない。
出荷制限のかかった山菜は、出荷以外は自己責任で――となるわけだが、老い先短い人間には少量でも貴重な「口福」になる。
カミサンが料理に知恵を絞る。まずはてんぷらになり、翌日には煮物になって食卓を飾った。別の日にはタケノコと天然ワカメとアミガサタケの煮物が出てきた=写真。
天然ワカメもいただきものだ。養殖ワカメと違って、ゆがいても中身がしっかりしているという。食べるとその通りで、歯ごたえがあった。
アミガサタケは私が採った。最初はバター炒めになって、単品で出てきた。味噌汁に入れたらどうだろう。私のアイデアにカミサンが乗ったが、これは失敗した。味もそっけもない。
アミガサタケはやはりバター炒めか。あきらめていたところへ、天然ワカメとタケノコを煮物にするというので、それに追加してもらった。こちらは成功した。
タケノコも、天然ワカメも、アミガサタケもそれぞれの持ち味が失われることなく調和していた。アミガサタケは煮物にもいいことがわかった。
ついでながら、お福分けのタケノコはゆでて調理するばかりの状態が主婦にとっては最高という。皮をむく手間が省けるからだ。
私も食欲を刺激されて、ゆであがった先端部分をカットして糠床に入れてみた。酒のつまみになった。ご飯のおかずにもよさそうだ。次は根元の方を漬けてみるか。
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