2013年10月23日水曜日

あっぱぐち

スパリゾートハワイアンズのホテルで中学校の同級会が開かれ、翌日、アクアマリンふくしまへ足を延ばした。宴の夜のあとには頭痛の朝がくるものだが、ロビーに集合した面々はいたって元気そうだった=真。

何時間かたっぷりふるさとの言葉に浸かった。福島県中通りの中央部、阿武隈高地の最高峰大滝根山(1193メートル)の北西麓に広がる町がふるさと。語尾は「~だっぺ」のいわきと違って、「~だばい」「~だない」と一音多くつく。「行くべ」は「行くべー」、「~した」は「~しただ」になる。

宴会で世話人の一人があいさつした。口元がなにかおかしい。酒を注ぎにきて“告白”した。入れ歯だという。「あっぱぐちしてたら歯をほうろった」(ぽかんと口を開けていたら入れ歯がはずれて落ちた)こともあるとか。「あっぱぐち」「ほうろった」。久しぶりの“母語”に周りの人間が大笑いした。

中通りののんびりした「~だばい」で育った少年には、浜通りのせっかちな「~だっぺ(だべ)」が荒っぽくて怖かった。“老少年”になった今はすっかりその言葉がしみこんでいる。「~だばい」が飛び交う中で「~だっぺ」を使っている自分を、もう一人の自分が苦笑しながら見ていた。

夜も朝も昼も、大きな声を出して仲間を笑わせる人間がいる。参加者全員に、彼のつくった新米と三春のゆべしがお土産として配られた。新米は帰宅してすぐ食べた。うまかった。「ほうがい」(そうかい)「飲みんせー」(飲みなさい)」「しんせー」(しなさい)と“母語”を連発する道化役が健在なのはいいものだ。こちらまで元気になる。

さて、同級会の会場をスパリゾートハワイアンズに決めた理由のひとつが、首都圏との間を運行している無料送迎バスだった。指定された乗り場に来るだけで目的地に着く。こんな楽な道中はない。福島県中通りからの参加者もマイカー組を除いてバスをチャーターしてやって来た。地元いわき勢は、5年前がそうだったように仲間が車を出してくれた。

5年後は70歳。同級会を開くにしてもそれが最後だろうか。その前に「毎年やったっていい」「今度もハワイアンズで」といった声が聞かれた。「んだない、そうすっかい」となると、いわき勢としてはうれしい。

1 件のコメント:

ringopapa3 さんのコメント...

いつもブログ内容に感心しながら拝読させていただいています。
私も今年のお盆の時に50年ぶりの同期会をやりました、とても懐かしいものでした。
内容を察するにとても充実した思い出になったことと思います。私たちは70歳での再会で分かれました。皆さん元気でいて欲しいと思います。