高血圧と慢性の不整脈で近所の医院に通っている。何年かにいっぺんはいわき市医療センター(旧磐城共立病院)で検査を受ける。
いわゆる地域医療連携で、以前は胃潰瘍もあったため、旧磐城共立病院時代から胃カメラを飲み、内視鏡で大腸を検査してきた。
そもそもは震災翌年の暮れ、原因のよくわからない貧血症状が出たことから、医療連携による定期検査が始まった。
消化器科の検査では大腸のポリープが見つかり、あとで2つほど取った。循環器科では2年前、左心耳閉鎖術を受けた。
心臓由来の血栓はおおかた左心耳で形成される。血栓による脳梗塞を予防するのが目的だった。
切開手術ではない。足の付け根の静脈からカテーテルを入れ、心房中隔を突き通して左心耳に、閉鎖に必要な「器具」を留置するというものだ。カミサンと相談して手術を受けることにして、5日間入院した。
故義弟が隣の福島労災病院に通院していた。私が送り迎えをした。帰りにカミサンがオープンしたばかりの医療センターの一般病棟を撮影した=写真。ここの何階かの病室に泊まるとは、そのとき考えもしなかった。
左心耳閉鎖術は新しい技術だという。担当の若いドクターは、今回の治療に関するデータを学会や医学雑誌などで発表したいという。
左心耳閉鎖術に関するデータの収集・解析を進めることで、治療の有効性や安全性が詳細に検証され、より適切な治療が可能になる。これからこの治療法を必要とする人のためにも、というので了承した。
以来、医療センター通いが続いた。術後2年を前に、先日、エコー検査などで経過を確認した。
その結果、医療センターに通ってもいいし、かかりつけ医院に戻ってもいい、というので、かかりつけ医院に戻ることを決めた。
理由ははっきりしている。外来の診察室が何列も並んでいる。待合室は診察室の前だけでなく、一般の通路側にもある。通路側のいすに座っていると、ひっきりなしに外来患者が行き来する。
こちらも同じ外来には違いないが、患者の多さにだんだん気持ちが沈んでいく。かえって心理的に疲れる。それで、かかりつけ医院に戻ることを決めた。
待合室で診察券などを受け取るために待っていると、看護師さんが来て一言、「ご卒業、おめでとうございます」。
そうか! ひとまず、かかりつけ医院に戻っていいところまで症状が落ち着いてきた、ということなのだろう。霊柩車でわが家へ戻るのとはわけが違う。うれしいひとことではあった。
そして1カ月後、処方された薬がなくなるころにドクターの書状を持って、かかりつけ医院へ行く。
旧知の看護師さんと顔を合わせたので、「医療センターは『卒業』」というと、「あら、よかった!」。声のボルテージが急に上がって喜んでくれた。朝ドラ「風、薫る」のりんと直美がそばにいるような気になった。