いわき地域学會の事務局になっているので、会あてに郵便物が届く。その一つに福島県歴史資料館の「福島県史料情報」がある=写真。
大きさはA3判1枚を2つに折った4ページで、記事は、フロントが1本のほかは各2本、計7本だ。
歴史資料館が所蔵する公文書・古文書、新収蔵資料などをコンパクトに紹介・解説している。私のような門外漢には願ってもない情報源である。
たとえば、第69号(令和6年6月発行)の「『古社寺建築物調』に見える白水阿弥陀堂」は、明治32年に作成された白水阿弥陀堂の平面図を紹介している。
国宝の白水阿弥陀堂は明治35年、特別保護建造物に指定されたが、翌年1月、暴風のために倒壊する。
お堂はその後、大規模な修復・復元工事が施された。平面図はその前の建物を正確に記録したもので、建築史研究上、大変貴重な史料という。
第75号(令和8年6月発行)には「『磐前縣一覧表』の種類について」が載る。 いずれも筆者は県歴史資料館の渡辺智裕さん。いわき出身で、いわき地域学會の会員でもあった。
この「一覧表」は5年前、いわき中央公民館の市民講座(講師は近代史の本田善人さん)で知った。
文献紹介の先行例があった。「いわき地方史研究」第6号(昭和44年)で菊池康雄さんが「一覧表」を取り上げ、中に出てくる「新聞紙局」と「新聞展観社」について研究会の会員に詳細を尋ねた。
それから24年後。平成5(1993)年に『いわき市史3
近代』が刊行される。そのなかで本田さんが答えている。
さらに、いわき地域学會会報「潮流」第37報(平成21年)には、「いわき・図書館のはじまり考――明治6年磐前新聞展観社の設置について」と題する論考を寄せた。
市民講座の話と合わせると、新聞紙局は磐前県庁内にあって、磐前新聞を印刷・発行した。
新聞展観所(縦覧所)は、磐前県のエリアである浜通りと田村郡・石川郡・白川郡(今の東白川郡)内の7カ所にあった。
これは「一覧表」の新聞関係に焦点を当てたものだが、渡辺さんは本田さんの研究に導かれながら、原本調査をした。その結果、「一覧表」には初版と改訂版の2種類があることがわかった、としている。
渡辺さんとは地域学會の総会で顔を合わせる程度で深い付き合いはなかった。が、「福島県歴史情報」を通じて、その学恩に浴してきた。
いずれも過去形で書くしかない。渡辺さんは、私から見たら若手だが、調査研究の現場ではすでにリーダークラスだったのだろう。その渡辺さんが亡くなってだいぶたつ。
フェイスブックで渡辺さんの死を悼む知り合いのコメントに触れて、「まさか」と思ったのはいつだったか。
11月2日、「福島県史料情報」の最新号(第76号=10月発行)が届いた。どのページにも渡辺さんの名前はなかった。
私はこの冊子に載った渡辺さんの文章に刺激されて、何度かブログを書いてきた。あまりにも早い。早い死が残念でならない。