年に1回、会津に住む高専の後輩と会う。高速バスでやって来る。彼をピックアップして、一緒に会議に出たあと、夕方のバスで帰るまでわが家で一休みする。
私が漬物好きなのを知っている。毎回、会津の味噌漬けを土産に持って来る。今回は「満田(みつた)屋のみそ漬」だった。
浜通りの人間、つまりは観光客にも喜ばれるさっぱりした味で、ご飯のおかずにはぴったりだ。
この漬物のほかに、奥さんがつくったという「クロニンニク」をちょうだいした=写真(左が味噌漬け、右がクロニンニク)。
さっそく、その日の晩酌にクロニンニクが出てきた。バラになった鱗茎(りんけい)で、とても大きい。
やはり黒くなった皮をはがして一口かじると、やわらかい。しかも、ほのかに甘い。かじった断面が蛍光灯のあかりを受けて輝いている。みずみずしい証拠だ。
初めての、しかもほっこりした食感。「確かにマロングラッセみたい」とカミサンがいう。後輩がそう言っていたのだとか。なるほど、そうかもしれない。
前に2回ほどクロニンニクを食べた記憶がある。鱗茎の1つひとつが小指くらいの小ささだった。味もイマイチだった。なんで黒いのか、黒くするのか、わからないまま忘れていた。
それに比べたら、このクロニンニクはとにかくうまい。小粒の味とは大違いである。すぐネットでクロニンニクの情報を仕入れる。以下は、その一部。
白い生ニンニクを一定の温度と湿度の環境下で数週間じっくりと加熱・熟成させる。そうすることで驚くほど変化する、とあった。
別の情報はより具体的だ。ほぐしたニンニクを薄皮が付いたまま(むいてもかまわない)、ひたひたのオリーブオイルに入れて、極弱火でコトコト15~20分煮る。
温度を上げ過ぎない。それでニンニクの糖分がキャラメル化する。シロップでマロングラッセを煮詰めたような、しっとりとしたやわらかさと甘みが引き立つ。これを数週間かけて熟成させるとクロニンニクになる。
見た目も、食感もドライフルーツやマロングラッセに近くなり、酸味と風味の効いた濃厚な味わいになる――。
つくり方はともかく、えらく時間がかかることだけはわかった。それを踏まえて、お礼を兼ねてメールでクロニンニクのレシピを後輩に聞いた。
すると、奥さんの話として、畑からとれたニンニクのうち、大きく立派に育ったものを選び出し、電気ジャーに入れて朝晩24時間、それを2週間燻り続けたという。やはり、じっくり、ゆっくり、である。
そこまでやって、ようやくマロングラッセのような味と食感のクロニンニクになるわけだ。
辛抱強く、熟成するのを待つ。これは、簡単にはつくれない。つくってくれ、ともいえない。1片ずつ、希少な高級品をいただくように濃厚な味を楽しんだ。
※おことわり=明23日はブログを休みます。