8月下旬から曇雨天が続いている。きのう(9月17日)のように晴れる日もあるが、朝起きて空を見上げると、鉛色の雲が全天を覆っている。やがて降ったり、やんだりを繰り返す。まるでカンボジアの9月のようだ。
14年前のシルバーウイークに、同級生と一緒にベトナムとカンボジアを旅行した。雨季の終わりに近かった。傘をさしてアンコールワットやバンテアイスレイなどの遺跡を見学した=写真。
雨季の終わりだからこそ雨が激しく降る。曇っては雨、やんでは青空がのぞくものの、すぐまた雨になる。
傘をさしていても衣服がたちまち雨にぬれ、汗と混じってびしょびしょになった。カンボジアは「雨の国」だった。そして、暑かった。
日本も夏は高温多湿になる。が、カンボジアは別格だ。とにかく雨が多い。日本の秋の長雨に、つい「カンボジア並みではないか」と気が滅入る。
それだけではない。いわきの平地では春・夏・秋のあと、ちょっと寒い秋になり、そしてまた春がくる。
浜通り南部のマチは冬がないに等しい。あっても短い。阿武隈高地生まれの人間は若いころ、そんなふうに思ったものだ。
それに加えて温暖化が進み、このごろは四季から二季、いわば乾季と雨季に向かいつつあるのではないか、という懸念をぬぐえない。いよいよカンボジアの9月を思い出す。
秋の長雨が農作物に影響を与えている。田んぼに機械を入れられるかどうか、いつ稲を刈ったらいいか、農家では苦慮していることだろう。
県紙によれば、農作物の一部に生育不良がおきている。畑の土が乾かないため、冬野菜の苗の植え付けが大幅に遅れている。根腐れも例年の2倍に及ぶそうだ。
夏野菜のキュウリは収量が大幅に減り、トマトも日照不足と低温のために色づきが遅れ、株の衰弱が懸念されるという。
夏井川渓谷の隠居の菜園で地ネギの「三春ネギ」を栽培している。きのうのブログにも書いたが、何年か前からネギ苗は浅く植えて高く土を寄せる方式に替えた。
深く植えると長梅雨のときに地下水位が上がって根腐れを起こす。現に起きたことがある。その予防のためでもある。今のところ、ネギは元気に育っている。
ついでながら、というか、これはアンコールワットにまつわるおまけ――。同遺跡は真西を向いて建てられている。春と秋の彼岸の中日、尖塔の真後ろから朝日が昇り、真ん前の密林のかなたに夕日が沈む。
秋分の日にはちょっと早い9月18日、専用バスでアンコールワットの夜明けを見に行った。雲が垂れ込めていた。尖塔の朝日は見られなかった。
同じ日の午後、雨に降られながらアンコールワットの内部を見学した。やがて夕刻になり、雨はやんだものの、雲にさえぎられて夕日は拝めなかった。
晴れればアンコールワットの朝日は観光客を喜ばせ、夕日は遺跡の神仏たちを慰めるはずだったが……。
シルバーウイークを前に、そんなことを思い出した。カンボジアはこの時期、やはり雨が多いことだろう。