8月25日のBSプレミアム「美の壺」は、テーマが「手ぬぐい」だった。江戸時代に始まる手ぬぐいの歴史や文化などを紹介した。
「なるほど」と思ったのは裁断方法である。幅は1尺、長さは3尺。1:3の決まった比率で手ぬぐいがつくられる。
日曜日には夏井川渓谷の隠居の庭で、首に手ぬぐいを巻いて土いじりをする。汗をぬぐうのが第一だが、ブユやアブ、蚊に刺されるのを防ぐ虫よけの意味もある。
手ぬぐいは、その点では実用品である。しかし、図柄には作者の個性や美意識が現れる。
「美の壺」では新たなデザインや、落語家の真打昇進記念のオリジナル手ぬぐい制作に密着していた。
見終わると、カミサンが手ぬぐいを何枚か縫い合わせてつくった「夏掛け」を出してきた=写真。
茶の間の座卓のそばにカウチがある。カミサンがときどきそこで横になる。扇風機が効きすぎるときには、この夏掛けを使う。
二十四節気が立秋から処暑へと移ったとたん、なぜか暑さが戻ってきた。25日には茶の間の室温が35度を超えた。
そんな日は夜も暑い。いや、猛暑日に限らない。夏場は寝室に扇風機を持ち込み、掛け布団は夏用の薄いものに切り替える。
それでも暑いときにはタオルケットか手ぬぐい地の夏掛け1枚にする(そう、タオルケットにならって、「手ぬぐいケット」と言ってみるか)。
蒸し暑い晩は実際、「手ぬぐいケット」だけで十分だ。扇風機は足元にある。足先が冷えないようにケットで覆う。注意するのはそれだけ。
カウチ用のケットには覚えがあった。一番上から、福島高専創立15周年記念、飯野八幡宮潮垢離神事、猪狩満直詩碑建立記念、魚の絵、そして最後が平六小校舎増改築落成記念の手ぬぐいである。
魚の絵には「RIE」の署名。近所に住む陶芸家箱崎理恵さんの作品だった。魚なのに英語をしゃべる。AIに翻訳させると、「私は新しい朝がきた場所について考えていた」。そんなことをつぶやいている図柄だ。
どの手ぬぐいにもなにか思い当たるフシがある。式典に出席したわけではない。が、どこかでつながっていて、その縁でもらったり、届いたりしたようだ。
表か裏かはともかく、反対側にはカミサンの実家の元米屋の手ぬぐいなどがパッチワークされている。二重の手ぬぐいのケットだ。
「手ぬぐいケット」は、一つには再利用、一つには思い出の定着、という意味があるのだろう。
さらには、針仕事自体が自己表現であり、オリジナル作品をつくる喜びが実は一番大きいのかもしれない。
図書館には手ぬぐいに関する本がいっぱいある。興味のありそうなのを2~3冊借りてきた。
それで知ったのだが、今は、幅は変わらないものの、長さが90センチと3尺未満になり、比率は1:2.7くらいが一般的なのだとか。
8月29日は急に気温が下がって、「手ぬぐいケット」1枚では体から熱が逃げてゆく。ケットの上に夏布団をかけた。秋を感じる最初の日になった。