ある日の夕方、2つの団体の郵便物が届いた。日本野鳥の会いわき支部の会報「かもめ」10月1日号と、いわき昔野菜保存会の会報「ROOT」第11号だ=写真。
「ROOT」は昔野菜保存会の会員に年1回郵送される。「かもめ」は、会員ではないが毎回、いわき支部から恵贈にあずかる。今回はたまたま同時に配達された。
「かもめ」のトップ記事は、ツバメの塒(ねぐら)入り観察会の報告だった。中面の会員による記事と合わせて読むと、今年(2026年)はツバメも、ツバメの塒を確かめる役のメンバーもだいぶ苦労したようだ。
ツバメは夏井川河口~仁井田川河口域のヨシ原を塒にしている。観察会の前には、支部の会員が何度か下見をし、塒の場所を確かめておく。ところが、今年は塒が定まらなかった。
記事によれば――。去年(2025年)までの塒が、観察会の前に移動してしまったらしく、数年前に利用していた場所を探して塒を確認した。
それからは観察会の前々夜まで下見を続けた。ところが当日は、一時100羽近く集まったものの、間もなく飛び去り、塒入りは観察できなかった。
この20年間、塒入りをはずしたことはなかった。これほど塒入りが安定しなかった年はなかったという。
その1週間後、アンモナイトセンター主催の親子自然探訪教室が開かれた。野鳥の会が協力した。
この日は2万羽を超えるツバメが塒入りをした。参加者からは驚きと喜びの声が上がった。
なぜツバメの塒が定まらなかったのか、「かもめ」の会員投稿から理由の一端がうかがえる。
異常気象による大雨や洪水の被害を防ぐために、全国的に河川改修工事が進められている。
いわきでも夏井川や支流の新川で土砂の撤去工事やヨシ原の刈り取りなどが行われている。
ここ数年、ツバメの塒が仁井田川河口や夏井川河口右岸・左岸と移り変わりが激しいのは、この河川工事も少なからず関係しているのではないか、という。
2023年、24年と続けて塒として使われていたヨシ原は広範囲に刈り取られてしまった。河口寄りの親水公園では土砂を重機で掘削し、ダンプで搬出が行われている。
ここのツバメの塒は、福島県内では最大だという。できるだけヨシ原が形成される工事を県に要望したが、防災の観点から工事はなお続くようだ。
ツバメの塒に限らない。河口から5キロほど上流の、わが生活圏の夏井川も事情は同じだ。それでウグイスのさえずりは岸辺からは聞こえなくなった。
この夏は、立木が残っている左岸の岸辺でオオヨシキリがさえずっていたが、なんとも弱々しかった。
水防の観点から岸辺林は除去するということなのか、草野心平が詩に取り上げた小川の川岸の竹林もあらかた姿を消した。風情という点では、川は都市の下水路に性格が似てきた。
もう1冊、昔野菜の会報は2025年の昔野菜フェスティバルの記事などが載っている。中身の紹介は、今回は省略する。