ターシャ・チューダー(1915~2008年)は絵本画家である。米国のバーモント州でガーデニングを中心とした田舎暮らしを楽しみながら絵筆をとった。
その思想と暮らしを紹介する「ターシャ・チューダー
人生の軌跡展」が、郡山市立美術館で開かれている(8月23日まで)。冠に「夢は叶えるもの」とある。
絵本原画や下絵、ターシャが日々の暮らしの中で愛用した道具の数々、収集したアンティークドレスなど約250点が展示されている(PRチラシ)。
カミサンはターシャのファンでもある。ターシャのスローライフを紹介する本や評伝を何冊も持っている。
8月9日の日曜日、開館時間の9時半には着くよう、7時40分に家を出た。アッシー君である。
いわきのわが家から美術館まではざっと85キロ。予定通り、1時間40分後には美術館に着いた。65歳以上の特典で入館料は900円と、一般より300円安かった。
ターシャは、カミサンを介して昔から知ってはいたが、ちゃんと向き合ったことはない。糸車や木製シャベル、アンティークの天秤棒、熊手などから、田舎暮らしの楽しさと厳しさを感じた。
花を中心としたガーデニングにいそしみ、木の実も暮らしに利用する。キノコはどうか? 絵本の下絵、原画をよく見たが、なかった。なんだ、キノコには興味がなかったのか。
今から16年前の2010年8月、同じ郡山市立美術館で「ビアトリクス・ポター展」を見た。
絵本の「ピーターラビット」の生みの親としてだけではなく、ナショナルトラスト運動の理解・賛同者としての彼女に引かれて出かけた。
彼女はキノコ研究者でもあった。同じ絵本作家でも、ビアトリクスとターシャでは自然に対する興味・関心が異なる。
唯一、「おっ」となったのは愛読書のコーナーだった。ターシャの蔵書が10冊展示されていた。
壁にはターシャの言葉が2行に分けて記されている。「本は、どんな船よりもさまざまな異国へ私たちを運んでくれる、すばらしい乗り物です。」。いい言葉である。
彼女が愛読したのは『ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー詩集』、ウィリアム・ブレイク詩集『無垢と経験の歌』、ウォルター・ドゥ・ラ・メア詩集『トム・ティドラ―の大地』のほか、『シェークスピア物語』『イソップ物語』などだ。
ウォルター・ドゥ・ラ・メアは初めて知った。英国の作家・詩人・児童文学者で、一般にはウォルター・デ・ラ・メアと表記されるようだ。ターシャよりは一世代年長だ。
ターシャはこうした詩人や作家たちの作品を読むことで自分の感性を養ってきたのだろう。
家に帰ると、カミサンがターシャの本を引っ張り出してきた。キノコの有無を探していると、ハリー・デイヴィスの『ターシャ・チューダーの人生』に収録された「飾り罫」のなかにあった。
結局、それだけだったが、全くキノコに興味がなかったわけではないことを知って、ホッとした。