3月に入った。最初の日が最初の日曜日と重なった。朝9時前、夏井川渓谷の隠居へ行く途中、平商業高校の前を通ると、生徒が登校していた。車も続々とやって来て生徒を下ろした。
そうだった、3月1日は県立高校の卒業式だ。今も昔も変わらない「春の巣立ち」である。月並みながら、そんな言葉を思い出した。
小川町に入って三島のハクチョウを見ると、いるにはいるが、ピーク時の半分以下だった。夏井川に長く散らばって羽を休めている。
前日、2月最後の日。マチからの帰りに夏井川の堤防を通ると、塩のハクチョウは1羽しかいなかった。
ハクチョウの冬は終わった――。そう思っていたから、三島のハクチョウの少なさには驚かなかった。
隠居に着くとすぐネギ苗を見た。この冬は雨らしい雨がなかった。追肥はしたが、雨なしでは肥料を吸収できない。
それで1週間前の2月22日、水をやった。するとその3日後、朝から夜まで雨が降った。長時間の雨は今年(2026年)初めてだ。
肥料と雨が効いたのだろう。枯れてチリチリになっていたネギ苗が、あおくすっきりした姿で立っていた=写真上1。ネギ苗にも春がきたのだ。
すると、フキノトウも。1週間前まではどこにあるか、目を凝らさないとわからなかった。が、パッと見ただけで点々と早緑色になっている。大きくなったものは苞(ほう)の中に花束をつくっていた=写真上2。
4月に入るとシダレザクラの樹下にアミガサタケが現れる。3月になったばかりだから、ないのは承知しながらも地面を見る。ない。ないことを記録しておけば、現れたときの喜びが倍加するはずだ。
隠居の入り口にあるアセビは? ほんの少し咲いていた。いつもだと1月下旬には開花する。今年(2026年)はずいぶん遅い。やはり土が乾いていたからか。
帰りは道筋にあるヤブツバキの花の有無をチェックした。渓谷の手前、高崎のヤブツバキはすでに開花していた。渓谷はどうか。確かめると江田の集落で咲き始めていた=写真上3。
「ヤブツバキ前線」は江田まで駆け上がってきたのだ。渓谷のそこかしこに生まれつつある「小さな春」。あと何度か雨が降れば、アカヤシオにも春がくる。