2013年10月29日火曜日

「みみたす」再び

FMいわきのPR誌「みみたす」10・11・12月号を読む=写真。7月最終日曜日に、草野心平記念文学館で初めて「みみたす」(7・8・9月号)を手にした。新しい企画展「サイデンステッカー カエル・コレクション展」が始まったので、日曜日(10月27日)に文学館へ足を運んだら、最新号が置いてあった。

前号は草野心平のふるさと・小川町の特集だった。さてさて今回は? 夏井川を軸にして小川町の上流に位置する川前町の探訪記事が載る。小川のときは「胡瓜(きゅうり)をめぐる冒険」で、今回は「川前散歩ぷかぷか」だ。葉タバコ生産地としての川前を紹介している。それで、煙のようにぷかぷか川前を散歩した、ということなのだろう。

最初に取り上げたのは、国指定天然記念物の「沢尻の大ヒノキ」。ヒノキとあるが、樹種はサワラだ。樹高約34メートル、目通り幹回り9.5メートル。日本最大のサワラで、それ自体森のような巨樹だ。樹下に立つと、たちまち巨樹の存在感、生命力、霊性に包まれ、心が浄化される。

推定樹齢800年。1100年余も前の貞観地震は経験していないが、その後の天変地異は年輪に刻んでいる。小さな集落を見守るように、野中にでんと立っている。なにか思い屈するものがあるとき、会いに行くと木霊(こだま)に慰撫される。元気がよみがえる。川前の、いやいわき市の誇る自然・歴史遺産のひとつだ。

そして、本題の葉タバコである。阿武隈高地、なかでも川前に接する田村郡は全国有数の葉タバコ生産地だった。私は、家が床屋だったが、周囲の畑の葉タバコを見ながら育った。

隣家が農家だった。子どものころ、夏休みになると隣家の山の畑へ出向き、小屋で縄に葉タバコをはさむ手伝いをした。冬は夜、隣家で茶色く縮れた乾燥葉タバコを伸(の)す手伝いをした。いずれも小遣い稼ぎだ。「川前散歩ぷかぷか」から、一気にそんなことを思い出した。

いわきの平地の人間は、山間部の葉タバコ栽培にはなかなか思いが至らない。「みみたす」の探訪記者はそこにちゃんと目がいった。阿武隈高地で生まれ育った人間にはうれしい紹介だった。

最後は、「品質日本一」の川前インゲンの素揚げを紹介している。素揚げしたインゲンをおろしショウガとめんつゆ、あるいは醤油につけて食べる。同じ山あい、川前の夏井川の対岸・三和町で教えられたのは、ショウガの代わりにおろしニンニク醬油を使った食べ方だ。この夏もちょくちょく酒のつまみになって出た。風土がはぐくんだ山里の食文化は個性的で、多彩で、深い。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...


その昔、船引町のタバコ買い入れ組合に行く機会があり寒い倉庫で束ねられた葉タバコの買い入れに遭遇しました

白遠州葉と松川葉でブレンドして、たしか福島県のタバコは郡山の専売公社でハイライトになるとか記憶にあります

作業していたタバコ生産者の人の手はみな茶色でした 厳しい作業で収穫し米よりは安定しているとはいえ国のタバコ保護がなければ収入にならない聞いた覚えがあります

磐東線にのると大きな葉っぱが風に揺れ山一面に広がっていたのを思い出しました