2013年10月30日水曜日

太陽の力

夏井川渓谷の隠居(無量庵)に備えてある、ふとんやタオルケット、丹前、座ぶとんを干した=写真。初夏と晩秋の2回、天気のいい日曜日に、寝具などにこもった湿気を取る。日光に当たった寝具類はふかふかしていい匂いがする。太陽の力を実感するときだ。

週末の曇雨天が晴天に変わった10月27日。早朝の一斉清掃を終えて、無量庵へ車を走らせた。

そこは戸数10戸に満たない、隠れ里のような谷間の小集落。テレビの紅葉情報で「色づき始め」を知ったのか、行楽客がチラホラ姿を見せるようになった。東日本大震災から3年目の秋、紅葉でも――という心のゆとりが生まれたのだろう。一昨年、昨年と行楽客はさっぱりだったが、今年はにぎわいが戻ってきそうな予感がする。

地面が湿っているので、少し時間をおいてから、カミサンがウッドデッキ、庭のテーブル、車の上に寝具などを広げた。

こちらは久しぶりに対岸の森へ入って“キノコ撮り”をした。10月下旬にはクリタケが発生する。アミタケとオウギタケがそろって顔を出す。原発事故さえなければ何度も森に入っているはずだが、今年はまだ3回目だ。森を巡っても、採らずに撮るだけだ。キノコはしかし、ほとんど見かけなかった。

正午前、子ども用の花火の音がした。イノシシが出たか! 誰が花火を打ち上げたかはわかっている。見当をつけて訪ねると、図星だった。

追っ払った相手はしかし、イノシシではなくてカラスだった。隣の隠居(母上の家)に入り込んで食べ物などをくわえていくのだという。街のカラスと違って、山のカラスは人間の生活の中に溶け込んでいる。いや、鳥や虫たちの世界に人間が入り込んでいる。ある意味ではカラスも、イノシシも隣組の一員だ。

少し彼とキノコ談議をした。「マツタケはさっぱり採れなかった。毒キノコも出なかった」という。夏に猛暑が続いて山が乾燥していたから、無理もない。キノコには、太陽の力が逆に作用した。

山里に限ったことではないが、過剰にエネルギーがはたらくこともないわけではないが、人間はおてんとさまの力をうまく利用しながら暮らしていくのが一番だ。

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