2014年2月25日火曜日

悩みは深めるもの

 田村市の実家へ行くタイミングをはかっているうちに、大雪になった=写真。阿武隈の山を越えるのはしばらくあきらめるしかない。そこへ、近所の人の訃報が入った。ふんぎりがついた。実家が床屋なので、盆や正月などに帰った折、兄に散髪をしてもらっている。今度だけは葬式に間に合わない。近くの床屋さんの世話になった。
 
 頭はとっくに密林から疎林に変わっている。で、年に2回ていど“剪定”するだけで間に合う。が、半年近くたつと後ろ髪が「酒場放浪記」の吉田類さんのようになってしまう。その髪がカットされてすっきりしたのはいいのだが、首筋が急に寒くなった。前よりよけいマフラーが離せない。
 
 そんなときに限って小事がとびこんでくる。外を駆けずり回らないといけなくなる。
 
 土曜日、家の前のごみ集積所に古新聞が何束か出された。きのう(2月24日)は可燃ごみを収集する日なので、ついでに持っていくかと思ったら、やはり残された。だれが出したかはチェックしてわかっている。家を訪問して出したことを確かめ、すぐ引っこめてもらった。
 
 ごみカレンダーによれば、わが地域の2月の古紙回収日は前日の金曜日だった。3月は土曜日の22日。ルール違反というより、3月の収集日と勘違いして古新聞を出してしまったのだろう。首筋はスースーしたが、一件落着で気分は軽くなった。
 
 震災直後、双葉郡の原発避難者がいわき市で暮らすようになり、ごみの出し方をめぐってさざなみが立った。生ごみがカラスにつつかれ、路上に散乱して不衛生――これが一番の問題だった。今はだいぶ落ち着いてきた。生ごみは外から見えないように出してください、といった張り紙も、少しは効果があったようだ。
 
「郷に入れば郷に従え」で、そこに住む以上はそこのルールを守るのが原則。守らないからと言って排除すれば、事態はかえって悪くなる。地域で共に安心して暮らす――こちらに力点をおけば、エネルギーはつかう。摩擦も起きる。悩ましい。いや、悩みは深めるもので超えるものではない、根を生やしていようといまいと隣人に違いないではないかと、駆けずり回って寒くなった頭で自分を叱咤する。地域の「安心」は「排除」では得られない。

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