2014年7月29日火曜日

宙づりの欄干

 ときどき、いわきの沿岸部を車で走る。生活圏でいえば、久之浜~四倉~平(沼ノ内・薄磯・豊間)~小名浜が中心で、南の勿来へは北茨城を含めて年に3~4回行く程度だろうか。

 3・11から3年4カ月余が過ぎて、道路沿いの風景はだいぶ変わった。道路が補修され、山のようなガレキが消え、家々のコンクリートの基礎がはがされた。海岸堤防のかさ上げや防災緑地の建設が始まったところもある。

 豊間の県道小名浜四倉線から海寄りに分岐した県道豊間四倉線の橋の欄干が一部、壊れて宙づりになっている=写真。片側にだけある歩道部分の鉄柵がはずれ、折れ曲がり、今にも川に落下しそうだ。応急処置としてロープが張られた。車道部分も道端にあるようなガードレールで仕切られている。

 小さな川で、すぐ先に太平洋が広がる。というより、家や木々が失われた結果、海が近くに感じられるようになった。3・11のときに大津波がこの川をさかのぼり、内陸部まで押し寄せた。

 橋は見るからに貧弱な“仮橋”のたたずまいだ。いずれ災害復興の事業のなかで永久橋に架け替えられるのだろう。県道分岐点の信号で止まるたびに、宙づりの欄干をながめる。今では3・11に直結する数少ない“遺品”のひとつ、か。

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