2014年4月24日木曜日

古巣コレクション

 座敷と風呂場の間の坪庭にアシナガバチの古巣が落ちていた。キイロスズメバチの巣、鳥の巣、そしてアシナガバチの巣。“古巣コレクション”がひとつ増えた。夏井川渓谷の隠居(無量庵)での話だ。

 隠居は、ふだんは雨戸を閉めたままだ。週末だけ少し人の気配がする。生きものにとっては雨風をしのぐ格好の場所なのだろう。すきまからノネズミが入り込む。鳥が庭木に、キイロスズメバチが軒下に巣をつくる。

 わが隠居に飾ってあるキイロスズメバチの古巣はサッカーボール大。坪庭の軒下に営巣したのを、もぬけの殻になった初冬に回収した。外観は陶芸の世界でいう「練り込み」。形は大きいのに軽い。隠居の「家宝」になった。

 鳥の巣は、たぶんヒヨドリが製作者だ。隠居の庭は石垣で土留めがされている。その石垣と庭の接点から1本、クワの木が枝を広げている。カミサンがこの木を剪定中に「空き巣」を発見した。巣材に人工的な高分子化合物(ビニール片など)は含まれていなかった。

 そして、今度コレクションに加わったのがアシナガバチの古巣。坪庭に落ちていたが、そこの軒下で巣を見た記憶はない。どこかにあったものが風で吹き飛ばされてきたのだろう。正六角形の巣房(すぼう)=写真=は美しい。いわゆる「ハニカム構造」をしている。軽く、強い。

 私は研究者でもなんでもないから、こうした自然界の形や色は楽しむだけだが、工学者には興味深い対象にちがいない。

なかでも気になるのがロボット開発だ。四つ足、尺取虫、蛇、……。なんでもいい。生きものの動きや構造から、原発廃炉に役立つロボットを早く開発してほしい。アシナガバチの古巣を見ながら、ついついそんなことまで考えた。

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