2014年4月28日月曜日

ふるさとから来た男性

 今月(4月)は6、13、20、27日と毎日曜日、夏井川渓谷の隠居(無量庵)へ出かけた。山峡に春を告げるアカヤシオ(イワツツジ)が咲きだす、満開になる、色が落ちる、姿を消す――1週間ごとの変化が鮮やかだった。
 
 アカヤシオから少し遅れて木の芽が吹き、ヤマザクラが咲き始めると、冬枯れた斜面は若緑や臙脂(えんじ)色に染まる。きのう27日は、パステルカラーの斜面にシロヤシオ(ゴヨウツツジ)の花が咲いていた=写真。逆光のなか、そこだけ朝日に輝いていた。今年は少し開花が早い。

 菜園の土おこしを少しして、隠居の前の道路に立って辺りをながめていると、見も知らぬ男性が隣の「錦展望台」の方からやって来てあいさつした。「ここに常葉出身の人間がいると聞いたんだけど……」「私ですが……」。なぜ知っているのだろう。それに、話が唐突ですぐには理由が飲みこめない。要は次のようなことだったらしい。

 彼は私のふるさと、田村市常葉町の人間だ。船引町に近い西向(にしむき)の板橋というところに住んでいる。1週間前にも渓谷へやって来た。そのとき、私の中学校の同級生でいわきに住む板橋出身の女性にばったり会った。彼女から私と隠居のことを聞いたという。

 一度、いわきに住む同級生が集まって、無量庵でアカヤシオの花見をしたことがある。彼女も参加した。今年はたぶん家族でアカヤシオの花を見に来たのだろう。隠居へ顔を出せばよかったのに……。

 男性は私の実家の兄を知っていた。聞けば、兄より1歳上、私よりは4歳上だ。小学校は別でも、中学校では先輩に当たる。髪の毛が黒々としている。思わず「若い」と叫んでしまった。

 2週続けて渓谷を訪れたのにはわけがある。「ミツバツツジを見に来たんだが、咲いてるかなぁ」「ああ、トウゴクミツバツツジですね。この道(県道小野四倉線)ののり面に咲いてましたよ」

 アカヤシオでも、シロヤシオでもない。トウゴクミツバツツジが狙いとは。写真撮影が趣味かどうかはともかく、こうしてふるさとの人間にばったり会い、親しく話したのは初めてだ。あきずに夏井川渓谷へ通っているからこその、うれしい偶然ではあった。

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