薬味用に二つ買った。自宅の軒下のほか、夏井川渓谷の隠居の玄関前に植えた。あまり手をかけなくても増えるというので、私のような人間には向いている。軒下のパセリは、肥料を一度、あとはときどき水をやっただけだ。隠居のパセリは全く手をかけない。
カミサンがときどき、パセリを摘んで料理に使う。この夏は花茎を40センチほどのばし、先端に小さな花をいっぱいつけた。葉と花が目当てなのか、先日の朝、カミサンがパセリを摘んだら、幼虫がいたという。
パセリを食べる幼虫はチョウの仲間に違いない。カメラを手にパセリを見ると、いた。それも、2匹。キアゲハの幼虫だ。
撮影のジャマになる花茎をよけてカメラを近づけると、幼虫の頭部からニュルッとオレンジ色のツノが現れた=写真。なんだ、これは?
庭は、人間の暮らしのそばにある小さな自然、ワンダーランドだ。今までにも鳥や虫、花の写真を撮ってきた(鳥は茶の間から)。ところが、芋虫の頭部からツノが出るのを見たのは初めてだ。驚いた。
すぐネットで調べ、さらに図書館からチョウの専門書を借りてきて読んだ。アゲハチョウ科の幼虫には、「臭角(しゅうかく)」という、通常は内部にしまわれている防衛器官がある。
なにか身の危険が迫ったと感じたとき、このツノを内部から出して悪臭を発し、「敵」を遠ざけるのだという。つまりは、自分のそばまで接近してきた私の指に対して防御本能がはたらいたわけだ。
パセリは花のかたまりをいっぱいつけていた。それが2匹の芋虫がとりついてほとんど姿を消した。たぶん種子ができる前に食べつくされたから、あとは枯れるだけかもしれない。
それよりなにより、キアゲハの幼虫だ、ここまできたら天敵に捕食されることなく、ちゃんと蛹になって、羽化してくれないと困る。
これまでにも、台所の雨戸の溝で蛹になったチョウがいる。朝見ると、円を描くように震えているときがある。蛹はヒオドシチョウ。そばに3~4ミリの黒い虫が接近し、ブンブンやっていた。虫を振り払うためのプルプルらしかった。
ほかにも4匹が雨戸の溝で蛹になっていたが、ヒオドシチョウが羽化した形跡はなかった。
そうそう今は消えたが、ユズの幼樹の葉を食べ尽くした幼虫がいた。ナミアゲハだったろうが、どこで蛹になったか、までは追跡できなかった。
虫といえば心配なのは、前にも書いたセミたちだ。わが家の庭では6月末にニイニイゼミがささやきはじめ、7月にはアブラゼミとミンミンゼミが歌い出す。これが今年は全く聞かれない。 (追記:きょう午前10時過ぎ、庭からミンミンゼミの初鳴きが聞こえた)
0 件のコメント:
コメントを投稿