故テレサ・テンのテレビ番組はたいがい見る。おととい(3月4日)の夜は、BSジャパンで「昭和は輝いていたSP――アジアの歌姫テレサ・テン」が放送された=写真。
テレサのことになると、おしゃべりの止まらない同級生がいる。還暦を機に始まった“海外修学旅行”のときか、合間に組みこまれた国内旅行のときか、記憶はあいまいだが、一夜、“テレサ礼賛”を延々と聞かされた。仕事で台湾へ行ったときに墓参りをした、立派な墓だった――確かそんなことも言っていた。彼もテレビと向き合っているんだろうなと思いながら、最後まで番組を見た。
日本でテレサを売り出した元レコード会社の舟木稔さん、作詞家荒木とよひささんがゲストで、武田鉄矢とテレビ東京の女子アナが司会を務めた。大ヒット曲「愛人」にある<尽くして 泣きぬれて そして愛されて>について、意識して「て」を重ねたという荒木さんの告白が面白かった。一種の脚韻だろう。
それはさておき、テレサの歌を聴いて思うのは、日本語がきれいで明瞭だ、ということだ。両親は蒋介石とともに中国大陸から台湾へ移住してきたという。テレサは台湾で生まれた。なのに、日本語の歌の発音に違和感はない。
テレサの映像を見ながら、日本語のきれいな女性の顔が浮かんだ。1人はNHKの久保田祐佳アナウンサー。大河ドラマ「八重の桜」の番組の最後に放送される「八重の桜紀行」のナレーションを担当した。
もう1人は……だれだっけ、だれだっけと思いながら、テレサの横顔がアップされたときに、顔が浮かんだ。女子スキージャンプの高梨沙羅さん、17歳。
インタビューにこたえる彼女の言葉は、大人の日本語だ。正確で無駄がない。英語もできる。海外遠征のために努力してマスターしたという。彼女をなんとなく好ましいと思っていた理由がわかったような気がする。高梨さんはテレサの若いときによく似ている。テレサの歌も上手に歌えるのではないか。
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