月後れ盆に入ったので、きのう(8月14日)、カミさんの実家へ線香をあげに行った。午後2時すぎ、茶の間で休んでいると、鉦(かね)の音がとびこんできた。数軒先の新盆家庭で故人を供養する「じゃんがら念仏踊り」が始まった=写真。家々から鉦と太鼓の音を聞きつけてぞろぞろ人が出てきた。いわき地方独特の盆の光景だ。
いわきの人間は、母親の胎内にいるときからじゃんがら念仏踊りにふれて育つ。じゃんがら念仏踊りはいわきのリズム、いわきの音だ。近所から鉦の音が聞こえると、じっとしていられないのはそのためだろう。
いわき市内各地の青年会が踊りを継承している。お盆が近づくと、新盆家庭から青年会に予約が入る。お盆はその成果を披露する場、比較される場でもある。
今年最初のじゃんがら念仏踊りを見ていたら……驚いた、踊りの輪の中に若い友人がいた。踊りが終わって少し話す。13~15日の3日間で60軒を回るということだった。炎天下、熱中症対策は「ビールです。さっきまで太鼓をたたいてました。もうへろへろ」。
私と同様、いわきの生まれではない。が、今はすっかりいわきに根を生やした。地元の青年会に加わり、伝統芸能の継承に一役買っている。記者としての好奇心もあったにちがいない。内側からじゃんがら念仏踊りにふれているとはうらやましい。
新盆家庭では施主が位牌を手にし、踊りと向き合っていた。踊りが終わるとギャラリーから拍手がわきおこった。故人もまた満足して彼岸へかえることだろう。
1 件のコメント:
江戸時代から伝わる「じゃんがら念仏踊り」のリズムは、この地で暮らす人のDNAにしっかり刻み込まれているのではないでしょうか?
唄や太鼓や鉦の打ち鳴らすリズムそれに舞は、ご先祖さまを供養するだけでなく,哀しげで、ある種享楽的で、貧乏で苦しかったその時代の「音」を響かせ胸に迫るのではないでしょうか?
新盆の家で、耳にするのは故人は「じゃんがら」が好きだったから賑やかに迎えてやろうと優しい哀しさに触れます。
あと何度「じゃんがら踊り」を目にできるのか老いゆく心境は秋風に似たものがあります。
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