マチの駐車場はカメラ式のところが増えつつある。それにはまだ慣れない。これに対して、いわき駅前の再開発ビル「ラトブ」は昔ながらのカード式だ。
発券機のボタンを押して駐車券を取り=写真、出るときには精算機に入れて精算する。
1階の一部と地下1・2階が駐車場になっている。ここが便利なのは、商業フロアで500円以上の買い物と飲食をした場合、あるいは総合図書館や市民サービスセンター、いわき産業創造館、いわき商工会議所を利用した場合、各施設に備えられている機械で駐車券にパンチを入れると2時間無料になることだ。
ラトブは2007年10月25日にオープンした。今年(2026年)で開業19年になる。
たまたま開業日が、会社をやめてフリーになった初日だった。起業した若い仲間に誘われて、ラトブ6階のインキュベートルームの同居人になった。
前職のからみで回ってきた仕事がある。毎日、階下の総合図書館に通い、資料を探し、若い仲間にも手伝ってもらって記念誌を2冊つくった。
その間、日中は2時間おきに地下の駐車場からマイカーを出し入れした。図書館に詰めて資料を探したり、読んだりしていたからこそできたことである。なにより財布を開ける必要がなかったので助かった。
その意味では、50代の終わりから70代後半の今まで、ずっとラトブの駐車場で発券機からカードを取り、図書館でパンチを入れ、精算機にカードを入れて外に出ることを繰り返してきた。
当初は毎日、以後は週1~2回のペースで19年も通っているから、もう2千回近くラトブを出入りしていることになる。
この慣れが招いた失敗だったかもしれない。いつものようにカードを取り出し、左手の指にはさんだまま、地下2階のいつものスペースに車を止める。と、その瞬間、指からポロリとカードが落ちた。
すぐカードを手で探ったが、緑色の足マットにはそれらしい感触がない。車から降りてマットをひっくり返したものの、車本体のマットは黒いうえに、地下駐車場だから薄暗くてよくわからない。いすを後ろに引いて車の床を手探りしても、やはりわからない。
ここは警備員室から懐中電灯を借りてくるしかないか。それをカミサンに頼んで、私はなおカードを探し続けた。
やがてカミサンが戻って来る。懐中電灯で照らすと……。車本体の黒いマットの上に、カードがひっくり返って黒い磁気面をさらしていた。黒に黒である。老眼にはまったくわからなかった。
一時はどうなることかと慌てたが、懐中電灯ですぐカードが見つかった。カミサンと一緒に警備員室に赴き、ガードマン氏にお礼を述べる。
駐車券が一時的に行方不明になって慌てる人は少なくないらしい。カミサンの茶飲み友達も車内でそれをやり、同乗していた息子さんに見つけてもらったとか。
いい教訓というか、いつもの駐車場に入るにもそれなりに集中力と緊張感が必要なことがよくわかった。