自家製の白菜漬けはすぐ甕(かめ)の中で産膜酵母に覆われ、酸っぱい古漬けになってしまう。こうなると味が落ちる。
古漬けでもなんとかうまく食べたい。それで思いついたのが、市販の「キムチの素」をまぶして酸味を包むことだった。
効果はテキメン。これでエンジンがかかり、次につくった白菜漬けはそのままのものと、キムチの素をまぶしたものと、最初から両方を食卓に出した。
といっても老夫婦2人だけだから、毎回食べる量は限られる。どちらもなかなか減らない。
家の中では最もひんやりしている北側の階段の下に甕を置いている。が、白菜にまぶす食塩を控えめにしていることもあって、水が上がったと思ったらすぐ表面が濁ってくる。産膜酵母である。これが現れたら水の表面はたちまち白い膜に覆われる。
1回に2玉を漬ける。1玉を8つ割りにして井桁に組み、食べるときには1切れずつ取り出す。全部食べるのに3週間前後はかかる。これをひと冬に4~5回は繰り返す。
昨冬までは、キムチの素は頭になかった。最後は強い酸味に辟易しながら食べた。
たまにスーパーから小さな容器に入った白菜キムチを買う。余ったタレに古漬けを刻んで混ぜ込むと、酸味が消えた。キムチの素を売っていることもわかった。
で、その後は古くなるとキムチの素をまぶすようにしている。甘辛でいったら、スーパーの白菜キムチは甘くて、キムチの素は辛みが強い。が、まぶす量を加減すれば辛みも緩和できる。
中之作で買った白菜と大根をそのままにしておいたら、白菜の外皮が腐ってとろけ始めた。大根も株元が黒ずんできた。
それらを取り除き、細かく刻んで浅漬けにした。翌朝にはもう食べられるまでになった。
産膜酵母を避けるには? この切り漬けをすべて容器に移し、冷蔵庫にしまって小出しにして食べることだろう。
そうやって、そのままのものと、キムチの素をまぶしたものと二つを用意した=写真。どちらもまあまあの味だった。
もう4月も近い。白菜は大玉を買って来るのではなく、4分の1、あるいは半分でもいいから、細かく刻んですぐ食べられるように切り漬けにする。
それをつなぎにして、4月には糠漬けを再開する。といっても古い糠床は虫が湧いたので捨てた。新しくつくる。
準備を兼ねて、沢村貞子の『わたしの献立日記』(新潮社、1988年)をパラパラやっていたら、沢村家では糠床をかき回すときに、夏場はビオフェルミンの錠剤を10粒、春秋は5粒ほどをまぜるとあった。
びっくりである。薬局で売っているものを糠味噌に利用する、という発想はなかった。どんなものか、そのへんをちょっと勉強してみようと思う。
先日、チェーン展開の薬局のチラシが新聞に折り込まれていた。中に「新ビオフェルミンS錠」が載っていた。
なるほど、薬局のチラシも糠漬けの材料調達の参考になるのか。買う、買わないは、じっくり考えてからにする。
