2013年3月4日月曜日

いわきの秘湯


土曜日(3月2日)、旧友6人プラス奥方2人と、いわき湯本温泉の奥座敷、白鳥山温泉喜楽苑=写真=に泊まった。師走に私が体調を崩したのを心配し、見舞いを兼ねて一献の集まりになった。顔を出せる人間は、旅館へ行く前にわが家へ立ち寄った。

平のわが家から常磐白鳥町の喜楽苑までは車でざっと30分。街なかの湯本温泉がそうであるように、平の人間がたびたび行くには遠く、泊まるには近すぎる。すぐそばに「馬の温泉」がある。福島県内で最も早く梅が開花する温泉宿としてメディアが取り上げる春木屋旅館とも接している。

仲間の一人が騒いでいたので分かったのだが、喜楽苑は「日本秘湯を守る会」の会員旅館だそうだ。田園地帯の小丘に位置する。鉱泉宿、つまりは湯治場だ。

今は近くに「フラガール」の殿堂、スパリゾートハワイアンズが立つ。常磐道のいわき常磐ICに直結するバイパス道路が田園を貫通している。車社会が到来して以後、「秘湯」というイメージからは遠くなった。

駐車場(40台収容)にずらりと車が止まっていた。市外のナンバーが多い。「秘湯を守る会」の会員か、はたまたハワイアンズが目的の一般の客か。「週末はいつもこうですか」。フロントで尋ねると、そうだという。「でも、平日はガラガラ……」。翌朝は30人ほどが一緒に食事をした。小さい子を連れた若い家族もいた。

いわき市の内陸部は3・11より、1カ月後に起きた直下型の余震で大きく痛めつけられた。ハワイアンズがそうだった。旅館の下手に“旧館群”がある。今は使用していないという。屋根がやや歪んで見えたのは余震の影響だろうか。

山の傾斜を利用してもうけられた宿泊棟や露天風呂を渡り廊下がつなぐ。「大浴場」「露天風呂」「鉱泉」に入った。「鉱泉」はやや濁っていて、重い。この濁りと重さに仲間が感動した。濾過したほかの湯とははっきり違う。いわきの人間にとっても、灯台下暗し、「いわき再発見」と言ってもいいような「鉱泉」だった。

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