2013年9月28日土曜日

ヒガンバナ

昨年暮れ、体調を崩して散歩を中止した。再開してもいいと思っているのだが、まだ自信がない。散歩コースは夏井川の堤防だ。散歩を日課にしていれば、自然の変化はすぐわかる。梅の花が咲いた、ツバメが来た、ネギの収穫が始まった、水石山が冠雪した……。

今はヒガンバナが真っ盛りだ=写真。夏井川の堤防で、寺町の墓地で、郊外のあぜ道で、文字通り秋の彼岸前後に点々と、あるいはかたまって咲いているのを見た。散歩を中断して自然の変化を実感する時間が減った分、ヒガンバナに気づくのが遅れた。

小欄でたびたび指摘していることだが、山里や農村の美しい景観は人間が自然を利用し、手を加えることでかたちづくられ、守られてきた。きれいに草が刈り払われた堤防の土手や田んぼのあぜ道、水路にヒガンバナが映えるのはそのためだ。ただ自然にほかの草が生えず、ヒガンバナだけが生えているわけではないのだ。

夏井川の堤防でも草刈りのされていないところがある。そこでもヒガンバナは咲いているが、侵略的外来植物のアレチウリなどにまぎれてよくわからない。人の避難した双葉郡の川の堤防や田んぼのあぜ道も、おそらくそうなっているのではないか。

ヒガンバナが咲きだすと、夏井川ではサケのヤナ漁が始まる。今年はしかし、9月中旬の連休、鮭増殖組合が架設中に大水が直撃した。先日見たら、ヤナがあるはずのあたりをサケらしい魚が背びれで水を切りながら上流へ向かっていた。

熱中症が心配されるほどの残暑がおさまり、朝晩は鼻水が出るくらい空気がひんやりしている。空が高くなり、彼岸が過ぎて、秋が少しずつ深まってきた。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ヒガンバナはお彼岸とぴったり合わせて咲きだす。これを稲刈りの時計合わせにしている農家の人もいるだろう。

あぜ道に咲くヒガンバナはモグラ退治に植えたと聞いたときがある。根っこは利尿作用に効用があるとも聞き、冬場に咲いていたところを教えたことがある。

この花は好きな人と嫌いな人に分かれるのも特徴かもしれない。