2013年12月14日土曜日

アパート建設

タンタンタン、タン、タンタン、タンタンタン、……。わが家の裏手から乾いた音が響く。畑のあとにアパートが建つ、その“建設のつち音”だ。見ると、クレーン車でつり上げられた資材を作業員が束になって組みたてている=写真

茶の間で仕事をしている身には、朝から夕方まで続く“ピストル音”が多少耳にさわる。これは“遠花火”だ、夜なら大輪の花が咲いている――花火の音とみなせば気もまぎれるかと思ったが、そうは問屋が卸さない。ガマン、ガマン。きょうは土曜日(12月14日)だが、タンタンタンが続くのだろうか。

新旧国道の間に、家並みにはさまれて畑が残る。その一部、義弟の家を含むわが家の裏手の畑がアパートに変わると聞いたのは、昨年(2012年)の夏の終わりだった。境を接しているので、秋に地主の代理の業者が説明に来た。建設同意書に署名した。

畑はかなり広い。そこに2階建てのアパートが4棟建つ。若いファミリー向けが3棟、独身者向けが1棟ということだった。畑の一部を入居者の家庭菜園用に残すという。

それからがスローモーだった。年が明けても工事の始まる気配がない。工事が始まっても、ぱたっと動きが止まる。「いつ建つんだろうね」と近所の人たちがささやき合っていた。

いわき市は市街化区域内に多くの未利用地を抱えていた。震災後、住宅地にある、そうした土地(田畑)が宅地化された。道路沿いの駐車場で工事が始まったと思ったら、たちまちアパートが建つ。引き渡し前から各部屋のガラス窓には「予約済」のステッカーが張られる。

行政書士の友人は「とにかく農地転用の手続きで忙しい。人を雇いたいが、忙しいのもあと1年。今のままで乗り切るしかない」という。けさの新聞折り込みに「住宅完成見学会」のチラシが4種類入っていた。消費増税前のラストチャンスと銘打ったものもある。不動産・宅建バブルが続く。

建設中のアパートとは別に、近所で1棟、地震で被害を受けた家の解体・新築工事が行われた。完成まであと少しという段階で足踏み状態が続いた。「ちょっとでも文句を言うと業者が来ないんだ」と建て主がこぼしていた。

避難生活が長引くにつれ、いわきに土地と建物を求める原発避難者が増えてきた。それでいよいよ建築業者が強気になっている。「ローンで建てる被災市民の家より、現金で建てる原発避難者の家を優先する」。そんなささやきも聞こえるきょうこのごろだ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

母は生前、震災前に大工さんが打ち出す小槌のトンチンカントンチンカンと音が聞こえないから町は景気が悪いんだねと指標にしていた。

今はあちこちで景気のいい打ち出の小槌ばりの音が聞こえる。

平は昔ながらの平屋の古い屋並みが多く、この震災でリフォームや新築で町そのものの様相が変わってきた。

どこでもブルーシートに覆いかぶさった瓦屋根が見られたが今はソーラパネルがドデンと鎮座した屋根が見られるようになってきた。