日曜日の晩のわが家の定番は刺し身。初夏から秋の終わりまでカツオ一辺倒になる。途中からサンマの刺し身が加わる。カツオが途切れ、サンマが終われば、翌年の初ガツオ水揚げまで魚屋さん通いは中断、というのがパターンだったが、今年は白身の魚に目覚めた。
師走最初の日曜日、「カツオも、サンマもない」というので、勧められるままにヒラメと皮をあぶったサワラの刺し身=写真=を食べた。
11月中旬に初めて口にしたホウボウのほのかな甘みに刺激されて、師走になっても魚屋さん通いが続く。ヒラメのえんがわのコリコリ。イワシの濃厚な甘み。白身の刺し身の目録が少しずつ増えていく。
今年最後の連休と重なった22日は「タコの頭か、ビンチョウ(マグロ)しかない。海がシケて漁に出られないので、市場に魚が入って来ない」のだという。しかたがない、両方を“マイ皿”に盛ってもらう。
そのときの雑談。「新舞子の海岸道路が通行止めになったそうですが、なんでしょうかね」。初耳だ。それに、海のことならこちらより詳しいのではなかったか。考えられるのは震災で地盤が沈下し、海が陸地に近づいたこと。そこへ、南岸低気圧が通過したことだ。海が荒れて、すぐそばを通る道路が利用できなくなったのだろう。
翌朝、フエイスブックで「新舞子海岸はすごい波、道路までしぶきがかかっている」ことを知る。昼前、様子を見に行った。道路に沿って延々と波消しブロックが続いている。そのブロックに次々と白い波が襲いかかり、しぶきをあげていた。道路がぬれるほどではなかったが、朝は、そして前日はものすごい波しぶきが上がっていたのだろう。
荒ぶる海――。いや、この程度の海はあの大津波からみたら、コップの中のさざなみにすぎない。
先日見たNHKスペシャル「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」のなかで、国際宇宙ステーションに滞在中の若田光一宇宙飛行士が「荒ぶる宇宙」という言葉を使っていた。
水の惑星は「ダイナミックに動いている荒ぶる宇宙」の一点だ。その一点でさえ、人間の知と想像力をはるかに超えたダイナミズムに満ちている。畏怖を抱かずにはいられない。
『原発ホワイトアウト』ではないが、「荒ぶる地球」はまたいつか必ず牙をむく。次から次に押し寄せる白波をながめていると、海中で泳いでいるイワシたちへの食欲だけでなく、自然への畏(おそ)れもまたわいてくるのだった。
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