2013年12月24日火曜日

ねんぱらこんぱら

何年かに一度、<これぞ「いわき語」>という言葉に遭遇する。「きっつぁし」(よそからいわきに来て住みついた人間)には当然、意味がわからない。

そんなときには、平成11~14年度に実施された市教委の『いわきの方言(調査報告書)』に当たる。今年1月に出版された夏井芳徳いわき地域学會副代表幹事の『いわき語の海へ』(歴史春秋社)も大いに参考になる=写真。前者はいわき語辞典、後者はいわき語が使われる情景(用例)のエッセーと辞典の2本立てだ。

ふだんから共通語といわき語を併用している。いわき語は語尾が「~ぺ」「~べ」になる。「そうだっぺ」(そうだろう)「行くべ」(行こう)「そうげ」(そうですか)などは、無意識に使っている。

今から40年以上前、いわきの中心地・平で「ぺぇべぇ」というタウンマガジンが発行された。いわき語の語尾の「~ぺ」「~べ」からタイトルを取った。地の言葉ながら、おしゃれな響きがしたものだ。

さて、これまでに“衝撃”を受けたいわき語は、というと――。まず、「ぐるりもっけ」(周辺。周囲。周囲全体)がある。家の周り、近隣、地域全体と、身近な“公共圏”まで包含できる言葉ではないだろうか。コミュニティの問題を考えるうえで、一つのキーワードになると思っているのだが、どうだろう。

次は「おげはぐ」。『いわき語の海へ』には「お世辞。追従。へつらい。『御敬白』が変化したものとされる。『あの人はおげはぐ上手だからなぁ、俺には到底、真似でぎねぇ』」とある。

そして、先日、近所の人から出たのが「ねんぱらこんぱら」だった。用事があってわが家に来たのだが、「ねんぱらこんぱら」に気を取られて、用意の方は上の空になった。言葉の前後から意味はなんとなくわかるのだが、定かではない。

「いわきの方言」を見る。「ねちねちと話してはっきりしないこと」とあり、用例として「あの男はねんぱらこんぱらしていで、とっても好ぎんにぁなれねなあ」とあった。夏井本には「長々と。くどい。いつまでも結論を出さないこと。ぐずぐずしていること」とあり、用例として「あいづの話はねんぱらこんぱらで、しびれ切れっちまった」とある。用事とはまさに近隣の人間関係に関するものだった。

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