2008年2月25日月曜日

漫画「しずく」

 某政党機関紙の日曜版に、「おだれいこ」という人の漫画「ニアレトロ物語 しずく」が連載されている。サブタイトルに<⑧アンゴラウサギ>(2月24日号)とあるから、今年(2008年)になってスタートしたのだろう。

 たまたま2月17日号をパラパラやっていて、びっくりした。私らがふだん使っている「いわき語」、それが画面を飛び交っている。

 2月24日号で言えば、「これいいべー」「そだごど言いにきたのがァ」「みんなでわけっぺ」「兄(あん)ちゃーんどこさ行ぐの」「近道すっぺ」等々。

 日曜版のホームページによると、主人公の「しずく」ちゃんは小学校3年生。「出会いや事件を通じて芽生える心持ちや新たな発見。懐かしい元気な日常生活を描きます」とある。

肝心なのは、この漫画の舞台である。
「昭和30年代の東北地方」――とくれば、これはもう今のいわき市だろう。いわき市でなくとも、いわきと同じ文化圏の双葉郡、あるいは田村郡のどこか。現実の舞台を探すとすると、そうなる。

実際、私が子供のころ(昭和32年に小学校3年生だった)は登場人物と同じように集団で遊び、口げんかをし、言うことをきかずに、よく親にしかられたものだ。

ただ2月24日号では、年長の「さち子」(小学校6年生)は「ぺぇ・べぇ」言葉のほかに、こんな言葉も使っている。「しずくちゃん、また今度遊ぶべない」。「しずく」ちゃんの「母ちゃん」も「悪(わ)りがったない」。

浜通りの「ぺぇ・べぇ」言葉は、阿武隈高地を越えて中通りに入ると「ぱい・ばい」言葉に変わる。「んだべ」(そうだろう)が「んだばい」のように、語感がやさしくなる。この漫画でも「さち子」と「母ちゃん」は、まわりの人間をふんわり包み込むような温かさを持っている。

私は阿武隈高地で生まれ育った。中通りの「んだない」(そうだね)「んだぞい」(そうだよ)も、浜通りの「んだべ」「んだっぺよ」も、だからすんなり入ってくる。

ところが、平っ子のカミサンは漫画に出てくる「遊ぶべない」「悪りがったない」を、「いわきでは使わない言葉だね」と言う。その通りかもしれない。が、同じいわき市でも田村市や小野町に近い山間部へいくとどうだろう。「んだない」を聞いたことがあるような気がする。

そうだとしたら、漫画の舞台はいよいよ「浜通り寄りの阿武隈高地」となろうか。

わが原郷でもある「阿武隈高地の物語」――そんな位置づけでこの漫画をウオッチし続けようと思う。

0 件のコメント: