2009年8月25日火曜日

トトロがいた


父親と一緒に、孫が久しぶりにやって来た。ほぼ1カ月前、急な発熱で重症化し、3週間近く入院した。容体が安定してからは毎日、会いに病院へ通った。月遅れ盆初日に退院してからは、いつものように間遠い対面となった。それも、「来る」ではなく「会いに行く」である。

2歳4カ月。語彙が豊かになった。とはいえ、祖父母は両親のようにはコミュニケーションがとれない。理解できない言葉(というより音声)がある。親に通訳してもらって初めて納得する。

やって来たのは午後2時からまり。久しぶりに祖父母の家に来たものだから、父親が「帰るよ」といっても首を横に振っている。「トトロを見に行こう」と父親が言うが、やはり首を振ったまま。毎日のリズムがある。昼寝の時間だという。「石森山を巡っているうちに眠るから」というので、父親と孫、祖父の三代の男が車に乗り込み、石森山を目指した。

道々、「トトロがいた」を孫が繰り返す。石森山はトトロがいてもおかしくない里山だ。「トトロの森だよ、トトロがいるね」と調子を合わせるが、いまひとつかみあわない。父親が車のスピードを緩めて窓を開ける。「ミーン、ミーン」。孫が耳を澄ます。鳴き声をまねる。それでも孫には「トトロ」しか関心がないようだ。

そうこうしているうちに、上下のまぶたがくっつき始めた。片寄側から石森山に上り、絹谷側へ下りかけるころには、ほぼ夢の中に沈んだ。

実はそこからが本番だった。孫が言う「トトロ」は山を下りた絹谷の田園地帯に、本当にいた。草野小絹谷分校。校庭に一本の針葉樹が立っている。その木の緑が刈り込まれ、目鼻立ちが分かるように飾り付けられて、「トトロ」に変身した=写真。孫の言うとおりに「トトロがいた」のだ。すごい、面白い――私の中の少年が反応した。

絹谷分校は、校舎そのものも小さくてかわいい。それをバックに「トトロ」が絹谷の里を見つめている。今日(8月25日)から2学期。分校の「トトロ」はわくわくしながら子どもたちを迎えたことだろう。

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